「オトコが育児に参加するのが当たり前」の時代に変わりつつある。旬の経営者や学者、プロフェッショナルたちも、自らの育児方針や育休取得についてパブリックに言及することが増えてきた。優秀なリーダーたちは、我が子にどんな教育を与えようとしているのか。また自身はどう育てられたのか。そしてなぜ、育児について語り始めたのか。
連載6回目に登場するのは、完全オーダーメイドのウェディングプロデュース事業などを手掛ける「CRAZY」の森山和彦社長。会社にベビーシッターを配置するなど、子どもを育てながら働きやすい労働環境をつくる。初めての子育てを通して、「経営も育児も共通点は多い」と語る。今回はその前編。

完全オーダーメイドのウェディングプロデュースサービスから事業を拡大。公私のパートナーである山川咲さんは、テレビ番組『情熱大陸』で特集が組まれるほど注目されるウェディングプロデューサーです。個人のライフイベントを応援するCRAZYを率いる森山さんが父親になったのは2017年のことですね。
森山氏(以下、森山):はい。2017年7月に長女が生まれました。今、生後8カ月で、まだまだ育児を勉強中です。この4月から妻が本格復帰したので、娘も一緒に連れて出社することも多いですね。今日も来ていますね。すぐそこのバルコニーから手を振っています。可愛いですね。
隣でお世話をしている女性は。
森山:弊社専属のベビーシッターさんです。うちは若いメンバーが中心の会社なので、設立してしばらくは子どもがいる社員がいなかったのですが、創業メンバーの女性が出産して、産後6カ月で復帰を希望したのを機に、「彼女が安心して働ける環境にしよう」と経営会議で決めて、シッターさんを雇うことにしました。
その後、出産ブームが到来してこの1~2年だけでも6人、今年はさらに3人が出産予定。利用する社員同士で調整してシッターさんにサポートしてもらいながら、子連れでも働ける環境をつくっています。

育児と仕事を両立しやすい環境づくりは、経営上、どんな狙いがあるのでしょう。
森山:そもそも子育てと経済活動を分けて考えることがおかしいと思っています。
子どもを育てることも仕事をすることも、一人の人間の連続する活動の一つであり、どちらも人生の一部です。何となく「仕事=オン/育児=オフ」というイメージがありますが、実際にやってみると、育児は決して意識を緩めることができない活動です。
そして、妊娠したからとか、出産したからといって、「仕事をサボりたい」と思う人はおそらくいません。ほとんどの女性が「できる範囲で、全力で仕事をしたい」と思っているのではないでしょうか。妊娠期の体調不良もしかり、育児中の突発的な欠勤もしかり、「仕事のほかに育児という活動にエネルギーを注いでいるんだ」と応援するのが仲間のあり方だと考えています。
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