子どもの興味を応援すると、大人の日常も豊かになる
子どもの興味関心を応援すると、自然と大人の日常も豊かになりそうですね。
西村:それはとても実感しています。忙しいですよ。今朝も早起きしてカニの水槽を掃除して、カブトムシの幼虫の餌になるマットを注文して(笑)。そういえば、こういう日常がヒントになって、長野にある月夜野きのこ園さんと組んで、昆虫を育てる体験キットも開発しました。子どもの興味関心を観察していると、僕の感性も刺激されて、行動がどんどん広がるし、興味のエンジンをもう1個搭載しているような感じがあります。
西村さんご自身はどういう育てられ方をしたのですか。
西村:勉強や運動はどちらかというとできる方だったので、親からうるさく言われることなく、自由に過ごしていた記憶があります。
中学受験のために塾通いもしましたが、ゆるめの塾で、むしろ楽しんで通っていましたね。水泳やピアノ、テニスなどの習い事もそれなりにやっていて、送迎のために母親がサポートしてくれていました。父親とは、よく外で遊んだ記憶があって、近所で兄と一緒にキャッチボールやテニスをしていました。
ただ一つ、「可能性を閉ざされた」と思っていることはあって、それが漫画とゲームです。物心ついた時から、何となく「漫画とゲームは悪」という雰囲気があったので、思い切り没頭する経験がないまま大人になってしまいました。いまだに、ドラクエやドラゴンボールの話で同世代と盛り上がれないのはちょっと悔しいですね。この分野に関しては、完全に可能性を閉ざされたと思っています。
しかも、大人になってから関心を持とうと思っても、なかなか持てない。興味関心には幼少期の“初動”が大事なのだなと身を持って感じています。
お子さんは、お父さんの仕事をどのように認識していますか。
西村:「パラグライダーとかのチケットを売っているんでしょ?」と言っているので、まあ、当たっているかなと(笑)。
お子さんの職業選択はどのようにサポートしていきたいですか。
西村:職業は、興味関心の先にあるものだと思うので、とにかく「これをやってみたい」という気持ちを見つけたら、見逃さずに応援してあげたいと思っています。お金は、人が喜ぶことをしたら気持ちよく払ってもらえるものだ、と伝えています。
職業を形づくるエンジンが興味関心であるとすれば、ハンドルの役目を果たすのが、知識やスキル。ただ、それは後からいくらでもついてくるので、まずは強力なエンジンを生み出せる心を育てたいと思います。

最近、長男が剣道を始めたんです。そのきっかけとなったのが、僕の名古屋出張に彼を連れて行った時に見た、名古屋城なんです。お城を見て「カッコいい」と思ったみたいで、後日、小田原城にも行き、そこから武士の世界に興味を持ち始めたみたいで。たまたま近所で剣道を習えるところがあるから「行ってみるか?」と聞いたら「やりたい」と。
今、習い始めて3回目で、気持ちの波もありますが、上達するとうれしいようです。何がきっかけで興味の芽が出るか分からないし、そのタイミングは、できるだけ逃さないようにしてあげたいと思いますね。
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