親から教わった、自分で決めて行動すること

豊田さんが子育てに関してご両親から受けた影響はありますか。

豊田:僕は、典型的な戦後高度成長期の「ザ・サラリーマン」の家庭で育ちました。母は専業主婦でしたが、今思えば男女平等の考えを強く持っていて、「家事は全部できるようになりなさい」と言われて育ちました。

 大学は実家から通える範囲にありましたが、自立のための経験として、大学に入ったら一人暮らしと決められていました。小さい頃から繰り返し言われてきて、今でも頭に残っているのは、「自分で考えて決めて行動しなさい。そして、自分の行動には責任を取れるようになりなさい」という教えでした。

 僕が海外で生活したのは30歳になってからですが、あまり苦労しなかったのは、両親の教えが大きかったと感謝しているんです。他人と関わるけれど依存せず、自分で状況を判断して、行動する。

 「自分を出す」ことと「他人を受け入れる」ことのバランスをうまく保つことが、新しい世界に飛び出した時には重要で、語学のレベルの問題ではないのだと実感しています。子どもたちにも、そのバランスは身につけさせていきたいと思っています。

お子さんの教育方針について具体的に聞かせてください。家庭内では何語で会話しているのでしょうか。

豊田:僕が日本語、妻が中国語、シッターさんが英語で話すので、子どもたちは自然とトライリンガルに育っています。普段の夫婦間の会話は英語ですし、家族の共通言語も英語です。せっかくの環境なので、いずれは海外で学ぶ選択肢も自然な流れの中で広げてあげられるといいかなと思っています。

少しくらい、周りに迷惑をかけたっていい

学校のプランはどのように考えていますか。

豊田:今のところ、2人とも普通に、近所の公立小学校に通わせています。

 僕自身はベタベタの公立教育で育って、県立の伝統校ならではの太い幹の通った教育の良さを体感してきたのですが、妻はインターナショナルスクールやカリフォルニアの全寮制ハイスクールに通うなど、グローバルな環境を転々としながら育ったタイプです。どちらも良し悪しがあって、これからの方針についてはまだ決めきれていません。

 ただ、日本の公教育で気になっているのは、学年が上がるほど、子どもたちの声がぼそぼそと小さくなって、自分の意見を言えなくなるような様子が見られることですね。「このまま通わせていていいのか」と夫婦で話すこともあります。

“正解を当てにいく教育”になっていないか、という懸念でしょうか。

豊田:そうですね。大人が先に用意した正解があって、それを当てないと許さないような状況がいろいろな場面で散見されます。

 少年スポーツの様子を見ていても、コーチが子どもたちを指導する時、「お前たち、どう思っているんだ!」と投げかけるんですが、求める答えは既に決まっている。もっと伸び伸びと、自分の言いたいことややりたいことを開放させてあげたいなという思いはありますね。

 失敗して怒られてもいい。むしろ少しくらい周りに迷惑をかけたり、かけられたりしながら、押し引きをサーチングしながら育ってほしい。今は少し行きすぎた潔癖症というか、「人さまに迷惑をかけてはいけない」という価値観が強くなりすぎている気がして……。本当の意味での「ギブ&テイク」の関係性を学ぶために、子どもたち同士の間で、もっと迷惑をかけ合っていい雰囲気が生まれるといいのにと思うことはよくあります。

豊田さんも、息子さんの少年野球にも付き添っているのだとか。

豊田:はい。最近は忙しくてなかなか顔を出せていないのですが、できるだけ付き添っていますね。僕も野球をやっていたので。娘のバレエ教室の付き添いも挑戦したことがありますが、狭い待合室でママたちに囲まれて……というのがお互いに居心地悪くて(笑)、最近は妻に任せています。

 この辺りの役割分担に関しては、妻はニュートラルに考える方で、「父親に向く場所にはあなたが、母親が向く場所には私が行けばいい」と同意してくれています。基本的に男女平等を主張しつつも、違いは違いとして認めるという考え方はいいなぁと思いますね。