ゲームは1日30分、夜9時就寝

お子さんの意志をできるだけ尊重しているようですが、「禁止」していることはあるのでしょうか。

玉川:ゲームは1日30分まで。これは単純に「目が悪くなるから」と説明しています。あと、うちは「夜9時就寝」を厳守していて、少しでも過ぎると厳しく怒っています。

 子どもは成長するのが仕事で、成長のためには睡眠は不可欠だからです。宿題を片付けるよりも、早く寝るほうが大事だと。うまいものを食って、遊んで、寝る。これだけで充分ですよ。

食事面は奥様が管理しているのでしょうか。

玉川:はい。毎日頑張ってくれて、ありがたいですね。でも、外食も時々していて、ラーメンや回転寿司もよく行きます。子どもたちがチェーン店の「くら寿司」にハマっていて、月1回は行かされます。本当は回らない寿司を食べたいんだけど……、仕方ないですね(笑)。

 ちなみにお小遣いに関しては、貯金の習慣をつけるために、本当に少額のお金をあげていて、長男が月400円くらいかな。本やゲームといった欲しいものはその都度プレゼンして、正当な理由なら買ってもらえるというルールにしています。

 本は割とすぐに買っていますが、ゲームは「○○を達成したら」という形にすることが多いですね。「サッカーで30ゴール決めたら」という達成目標を決めたら、ものすごく積極的にゴールを狙うようになってました(笑)。半年後には達成したので買いましたよ。

 さきほどのリフティングもそうですが、親が言いっ放しにしないようにしています。言ったからには、ちゃんと付き合う。

ジェフ・ベゾスは来日時、必ず子どもを1人連れてきていた

子どもとの向き合い方は、部下の育成にも通じる部分があると思いますか。

玉川:僕の場合は、それはあまりありません。なぜかというと、うちの会社は中途採用が中心で、既に成熟した大人が集まる組織です。自分の仕事を自律的に進めることができる「自走組織」をつくりたいと思っていて、それができる人を集めています。

 ですから、どちらかというと、子どもたちには「将来、うちの会社みたいな自走組織で活躍できる大人に育ってほしい」という考えに近いかもしれませんね。

お父さんの仕事について、お子さんはどのくらい認識しているのでしょうか。

玉川:一応、「SIM屋さん」だと思っているみたいです(笑)。小学生の娘が手紙の中で書いてくれた僕の仕事中のイメージは、「いらっしゃい、いらっしゃい。SIMたくさんあるよー」でした。

 実際、展示会とかに連れてきて、子どもたちにビラ配りを手伝ってもらったりしたこともあるんです。

 親の仕事の現場を見ることも勉強になるだろうと思っていて、長男は中国の深セン出張に連れて行きました。僕は前職でアマゾン・ジャパンに勤めていたんですが、創業者のジェフ・ベゾス氏が来日する時、必ず子どもを1人連れてきていたのが印象に残っています。「ああいうの、いいな」と思っていたんです。

 中国や東南アジアはファミリー経営の企業も多いので、ビジネスミーティングに子どもを同席させるのもあまり珍しくありません。僕も事前に「邪魔させないようにするので、会議に同席させていいですか」と先方に話した上で連れて行きました。全然違和感はなかったですね。

 その時は、中国の知財関係の企業が出展するメーカーフェアの視察も目的で、そこに息子が大好きなロボット玩具の「mBot」も出展するということで、「行くか?」と聞いたら「行きたい!」と言ったので連れて行きました。

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