子どもを引っ張るよりも、子どもに寄り添いたい
子どもが興味を持つ分野に関して、「子どもの自由に」と言いながら、親心からついつい「こっちに関心を持ってほしい」と誘導してしまうことは、ありがちだと思うのですが。
玉川:できるだけ誘導しないようにしたいですよね。僕は仕事ではビシッと方針を示してグイグイ引っ張っていくタイプだと思うんですが、子育てでは逆でありたいなと思っています。
周りを見ても、頭が良くて仕事ができる人ほど、子育ても先回りして引っ張る人が多いようなのですが、僕はできるだけ「寄り添う」ことに徹したい。
例えば習い事に関しても、今の時点で僕たちが見ている世の中の風景は5年後、10年後には、劇的に変わるはずです。仕事で成功を収めるために備えるべき能力も変わってくるでしょう。英語よりも中国語のスキルが重視されるようになるかもしれません。プログラミングだって、5年前にはほとんど話題に上りませんでしたよね。
「何を身につけさせるか」はあくまで手段であって、そこにとらわれて右往左往するよりも、「18歳の時には、優しく、たくましく育ってほしい」くらいの大きな目標さえ決めておいて、ブレなければいいと思っています。
ただし、子どもは1年1年で大きく成長して変化するので、定期的に観察して、目標とすり合わせることは大事になります。だから、「子育てビジョン」を毎年改定しているんです。
人生の成功に学歴は関係ない
なるほど。通わせる学校のプランについては考えていますか。
玉川:今のところは公立でと考えています。僕も妻も地方出身で、公立の教育方針で育ってきたので、「私立に進んで当たり前」という首都圏の感覚になじめていないというのは、正直あります。「いやいや、公立でもいいでしょう」って腹の中では思っています。
ただ、これもとらわれすぎてはいけないと思っていて、公立絶対主義に偏らず、ゼロベースで考えていこうねと妻と話しているところです。特に長男は、アメリカで生まれアメリカ国籍も持っているので、どこかで英語環境を経験させてあげたいですね。
子どもと一緒に過ごす時間を大事にして、一人ひとりをよく観察した上で方針が決まっていれば、世間のブームにも惑わされずにいられそうですね。
玉川:はい。焦りやストレスは全然感じませんね。
あと、「小4から塾に行かせなくていい」という方針には、ちょっと経営者の目線も入っているかもしれません。少子化で従来の戦略では収入が減ることが決定している塾業界がやるとしたら、やっぱりエントリーを増やすためのマーケティングだよな、と。「うん、マーケティングとしては尊重する。でも、俺はだまされない」と思ったんです(笑)。
冷静な視点ですね。サービスを提供する側の視点からも、その要不要を見極められた、というわけですね。
玉川:それに、「人生の成功に学歴は関係ない」ということを知っているから、過剰な学歴競争には巻き込まれようとしないのだと思います。
仕事柄、いろんなベンチャー起業家とお会いするのですが、成功している方の中には、学歴面での挫折経験がある人も少なくありません。世間的に「いい大学」を出た人が全員幸せそうな顔をしているかというと、決してそうではないという発見もありました。
学歴を整えるよりも、どんな状況でも人生を楽しむ力を身につけることの方がずっと大事だと思っています。
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