部下の本性を知るには会社の外に連れ出せ

大竹:社内で話してはダメなのですか。

上田:うん。会社を出て、居酒屋でも行って一杯飲みながら、いろいろと言葉を選びながら、不満を持っていることや、こうあってほしいと願っていることを伝えるんだよ。

大竹:古典的な“飲みニケーション”ですね。

上田:バカにしちゃいかん。

 飲みながら部下に思いを伝えれば、最初は反論するかもしれない。けれど、その反論の根拠を知ることで、部下がどこに不満を持っているのか分かるはずだ。

大竹:反論させることで、その根拠を知るわけですね。

上田:部下がKYだからとか、不適合だとか、そんな不満ばかり言っていても、たった2人の部下じゃないか。仕事上、お互いにうまくコミュニケーションが取れないんだったら、一回仕事を離れて、会社から離れた時間と場所で、コミュケーションを取ってみるんだよ。

 部下と上司が衝突する場合、お互いに「どうしてこんなことになるのか」という根底を分かり合っていないからなんだよ。それを知れば、「ああ、そういうものの考え方や価値観もあるのか」という気付きも生まれる。

 もちろん、「そうじゃないよ」と言ったって直らないんだったら、別の方向に向くように指導するとか。だって、部下が働いてくれなきゃ、自分も困るもん。この方は係長だろう?部下がやらかしたミスだって、会社という組織の中では部下がKYだからなんていう理由は通用しなくて、結果、係長の責任になる。

大竹:そもそも、衝突している部下と会社の外に連れ出したって、うまく話せますかね。

上田:これはね、1対1で話すんじゃなくて、部下2人、両方を連れて3人で飲みに行ったらいい。

 3人で行けば、もう1人の部下は、この係長とKY部下のどっちが正しいことを言っているかと分かるわけ。要するに、審判の役目だな。

 この係長さんも、部下から自分がどう見られているのか、知る必要があるよ。絶対的にこいつが悪いんだと思っているかもしれないけど、自分にも相当、悪い部分があるはずなのよ。

 だから、話してみたら、言われてみれば確かにそうだなと思う部分もあるかもしれない。そうすれば、こういう部下にはこういうやり方をしたらダメなんだということも分かる。

大竹:相談の文面を読むと、部下から尊敬されてないことにいら立っているようにも思えます。部下にバカにされているんじゃないかと。

上田:まあ、そういうことはよくある話だよ。いつの時代も、自分たちの世代とは感覚が違うと思うもんだ。一昔前に、「新人類」と呼ばれた人類がいたことを知っているかね。

大竹:知っていますよ。新人類という人類がいたことは。

上田:あなたは新人類よりあとだよね。

大竹:新人類は確か、1960年代生まれですよね。だから、私は少しあとの世代です。

上田:僕らから見た新人類ってのは、本当に理解できなかった(笑)。当時は皆、「今どきのガキは何だ」とか「会社が保育園みたいな感じになった」とか、そんな不満を漏らしていた。「これやってくれ」と指示したら、「何でですか、何でですか」と聞き返してくる。パパやママからも、そんなことは言われたことがないみたいな感じでね。

大竹:今も毎年、新入社員が入ってくる時期には、「今年の新人はここがひどい」みたいな話が、いたるところで出てきますよね。

上田:うん。いつの世も一緒なんだよ。だから、部下に対して、こいつは空気を読めないとか、アホばっかりだなんて言ったって、どうしようもない。だって、育った環境や時代が違うんだから、仕方がないだろう。

 部下を持つということは、いろんな個性を持つ連中をどうやって戦力化して戦っていくかを考える立場になったということなんだ。自分と同じようなタイプの部下なんて、まずいないと思った方が良い。

 他人ごとのように、こいつは空気を読めないとか、変なことを言うやつだとか言っていても、チームとしての成果は出ないよ。個性が異なる連中を戦力化するためには、まずは相手をよく知らなきゃいけない。

大竹:部下を持ったらまずすべきことは、部下の個性を知ることだ、というわけですね。