すべての仕事は現場に通じる
大竹:すぐに、相手のせいにしてはいけないということですか。相手のせいにしてしまうのは、簡単ですものね。
上田:そう。それに、なかなか異動したいと言っても出してくれないということは、彼は必要とされているんですよ。
環境対策企画に対する知識なり、スキルなりを持っている人がほかにいなくて、代わりの人があまりいないのかもしれない。それだけ、長い知識や経験が必要だということで、出さないのかもしれない。
ただ、現場のことを知った方がよりよい仕事ができるというのは、その通りだ。現場の製造過程やオペレーションがどうなっているのか、どういう仕事の仕方をしているのか、そういうことをきっちり知らずして環境対策企画なんてやっても、極めて抽象的で上っ面の話になってしまう。だから、やっぱり現場を知らないといけない。
大竹:部署から異動できない。でも、現場は知りたい。どうしたらいいですか。
上田:本人がどんどん、現場に出掛けていけばいいんですよ。部署を変わらなくたって、現場を知ることはできる。
大竹:前回の相談もそうでしたが、まず、自分から動いて見る。「地動説」ですね。
上田:ファミリーマートにも、品質管理や環境対策を担当する部署があるんですけど、彼らはデスクになんかいませんよ。
大竹:常に現場に出ている。
上田:年中現場に行っていますよ。それが当然あるべき姿です。この方の会社だって、彼が現場へどんどん、どんどん出ていってやるのが、本来の姿なのではないかな。
僕の場合は、会社としても当然ウエルカムだったし、そういう業務をしてほしいと思っていたわけですよ。環境対策や品質管理に関する仕事は、デスクワークではできない。やっぱり、現場に出て行かないと。
上司には、今日はどこどこの工場に行ってきます、明日はどこどこの現場に行ってきますと、報告しておけばいいんです。「私の今月のテーマはA工場の何です」とか、「B商品の製造ラインのオペレーションをチェックして、もっと環境対策を強化できるかどうかを調べることです」とか。そういうことを全部やってみたいと、上司に相談してごらんなさい。もちろん、そうした取り組みの結果や進捗もしっかり報告する。そういうことを「やらんでいい」なんていう上司がいたら、ちょっと失格だね。
きっと、本当はやってほしいと思っているんじゃないかな。
大竹:そうかもしれませんね。
上田:まあ、現場に行き過ぎると、現場からは製造の効率が落ちるからほどほどにしてくれとか、クレームが来ることもあるけどね(笑)。でも、それくらいの使命感を持って、現場を回ってみてはどうですか。
頻繁に現場に顔を出していたら、逆に現場の方から、「あなたこっちで仕事をしてよ」と誘われるかもしれない。過去、そうやって現場に引っ張られていった人も良く知っているしね。
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