若い人は新しい発想で事業を起こせ

大竹:もう全部、売り払ってしまえと。

上田:そうすると、気持ちがすっきりすると思いますよ。

大竹:息子には財産を残さないぞ、というぐらいの気持ちの方が気持ちは楽になるということですか。

上田:「教育費ぐらいは出すけど、あとは俺が全部使い切ってやる。俺がしがらみから解放してやる」と言えば、それを聞いた息子は逆に、一念発起するんじゃいかね。親父がそこまで腹をくくって、自分の将来ことを考えてくれたとなれば、息子だって本気で自分の将来のことを考えるようになるよ。

 もう先祖代々の土地や場所を守っていかなきゃいけないという時代ではなくて、むしろ新しい事業なりを起こして新しい財産を作れと。そのために、先祖代々の土地はくれてやるとね。

 土地物件、不動産物件がまだ価値のあるうちに整理をして、ご自身の老後の資金を除いて、あとは息子に何か新たな事業をやらせるとか、そういうことを考えてもいいんじゃないの? この方もまだ52歳、僕から見たらまだまだ若い。同じことをやっていたんではダメですよ。

大竹:結構、地方にはこういう悩みを持たれている方は多いんでしょうか。

上田:多いと思うよ。僕の同級生にも、東京に出てちゃんとした企業で働いていたんだけど、戻ってこい、戻ってこいと言われて、仕方なく実家の状況を改めて調べたんだけど、ひどい状況だったというのがいてね。実家が持っていた土地建物には住む人もいないし、借りたい人もいない。固定資産税は毎年掛かるし、維持費も大変だし。跡取りと言われたって困ると頭を抱えていたんだ。

 それで僕は言ったわけ。「お前、親父とお袋にはっきり言えと。もう、無理だから売り払って、東京に出てきてコンドミニアムか何かに住んで、老後を豊かに暮らしてくれ」とね。「早く処分しないと、そのうちタダになってしまう。それだけじゃない、税金の分だけマイナスになるぞ」と言った。

 それで、ほとんど僕の言うことを聞いて全部処分して、もう町にはいない。

大竹:その後、そのお友達からは、上田さんのアドバイスを聞いてよかったというふうに感謝されていますか。

上田:感謝されたよ。だってもう、人口減は避けられなくて、過疎化がどんどん進んでいる場所でしたから。相談者がもし、地方の方じゃなくて、東京とか大都市の人だったら、なおさら今が売り払うチャンスじゃないかと思うね。相続は大変ですよ。

大竹:でも上田さん、そうしてどんどん人が大都市に集まってしまうと、地方はますます衰退しそうです。上田さん自身、田舎出身ですよね。さびしくはないですか。

上田:それは複雑な思いがありますよ。僕は田舎者ですから。だけど、それは誰が悪いんでも何でもない。時代がそういう時代に来ているということです。一個人の力で止められるものではないですよ、社会構造、税制、過疎化……全てがね。

 だからこそ、先祖代々の土地にしがみつくというのは、若い人たちの可能性を伸ばすことにならないんじゃないかな。若い人たちが新しい発想で新しい事業を起こしていけば、それが最後には地方の活性化にもつながるんだと思うよ。だって、事業を起こすのは東京でなくたっていいわけだから。

大竹:そうですね。

上田:そういうことをきっちりと冷静に判断された方がよろしいです。

 まあ、もちろん、先祖代々の土地がモノを言う例外もありますけどね。

大竹:何ですかそれは?

上田:温泉です。子供が後を継ぎたくなるような、夢のある事業(笑)。

大竹:温泉ですか!だけど、この前、地方の温泉に行ったんでが、なかなか大変そうでしたよ。施設はそれなりの規模でも、人が来ないからメンテナンスがしっかりできていなくて、タイルや壁紙がはがれてきているとか。多いですよね、そういう温泉も。

上田:人の流入がない地域で温泉施設をやっても、それはダメですよ。投資コストに見合わなくなっちゃうから。例外と言うのは、世界遺産の白神山地の麓とか、そういう場所だったら、迷わず温泉を掘ったほうがいい(笑)。

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