この時代、もう先祖代々の財産は守りきれない

大竹:そうですね。

上田:これはもう、国の仕組みがそうなっているんだから、これはもうやむなしと思うべきでしょう。従って、息子をきっちり私立中学に入れて、息子がその跡を継ぐということを考えのではなくて、やっぱり息子はこれからの時代に、どうやって生きていくのが一番幸せなのかを、考えるべきなのではないかな。

 僕らの時代以上に、これから世界は急速に変わっていくよ。それなのに、いずれなくなる財産にしがみついて、それを守るような仕事を息子に継がせることが、本当に良いことなのかね。ビジネスなり何なり、息子の可能性をもっと広げることを考えてあげてほしい。「俺の跡を取る必要はまったく考える必要はない」というくらいのことを、息子に言ってあげるべきじゃないの?

大竹:跡取りだとか後継者だとか言って、今ある資産を何とか守り抜いて生きくために息子を教育するという考えは、もう古いと。

上田:もう、財産は守りきれません。

大竹:絶対に無理?

上田:無理!

 さっきの僕の同級生の話を言うと、昔から商売をやっていて地主だというのが2人ぐらいいたけど、今ではもう、そこの家に誰も住んでいません。もう、全部なくなった。

 遺産相続しても、土地を持っていると逆に不動産税だとか何だかんだ取られて、利益は残らない。税金ばかり掛かって仕方がないから、みんな処分して、現金化して子供たちに分け与えてしまっていますよ。

 子供たちはみんな東京だとか都会に出て、サラリーマンをやったり、ほかの事業をやったり、みんな自分の人生を生きています。先祖の財産を守る人生じゃなくてね。先祖代々の財産でずっと子孫が食っていくなんていう発想は古いし、そもそもできない。だから、できるだけ早く割り切りなさい。

大竹:土地だって、高値で売れるときに売ってしまった方が、結果的に良いかもしれない。

上田:相談者自身だって、「辛うじて守っております」と言っているじゃない。既に、厳しいわけだよね。それなのに、それを守り続けるために「後継者としての心構え」と言ったってねぇ。息子だってもう中学生でしょう。今の状況を続けることが難しいことくらい、薄々でも勘付いていますよ。

大竹:そうかもしれませんね。確かに、少子化で厳しい時代だし、相続税は大きな負担です。もう守っていけない時代が目の前に来ているということですよね。

上田:そういう考えはもう、今の時代の流れの中では捨てた方がいいのではないでしょうか。息子さんをきっちりとした社会人になるまで見守って育ててあげて、息子は息子の人生を歩めと、背中を押してあげてほしい。

 相談者と同じように、先祖の財産を継がせて、「お前の役目は、これを守って、また次の世代に引き継ぐことだ」なんて言ったって、もう無理でしょう。

 逆にまだ価値のある間に、ご自身たちの老後の資金と、それから子供の将来に掛かる資金をきっちり計算して、もっと明るい豊かな終活時代に備えましょう。