ユニー・ファミリーマートHD相談役、上田準二さんの「お悩み相談」。今回は、先祖代々の土地建物を守り生計を立てている52歳の男性から。息子にも後を継がせようと考えているものの、将来が不安。そんな相談者に上田さんは、「先祖の土地を守って暮らそうなんて考えは古い」と断言。息子のために取るべき行動とは?
私は旧家の先祖代々の土地や建物の管理法人を細々と経営している者です。庄屋をしていた祖父の代に農地改革があり、先祖の土地が相当縮小していったうえに祖母、両親への相続を経て、町内の一角を辛うじて守っております。こうした状況も、私への相続によってどうなるか心配しております。
そんな中、中学生の一人息子が地元の私立中学に通っています。今のところ、息子は勉強に興味がなく、平均点に達すればいいやくらいの気持ちでしか日々、勉強に取り組んでいません。これから不動産賃貸業も少子化で厳しい時代を迎えますし、片や相続税は負担増になり、知恵を働かせないと先祖代々の土地や建物を守っていけない時代が、目の前に来ております。
資産の運用もしていかなければなりませんが、賢明でないと騙されてしまいます。息子には日々、後継者としての心構えを説いてはいるのですが、どうすれば息子はしっかりしてくれるでしょうか? アドバイスお願いします。
(52歳 男性 会社役員)

上田準二(ユニー・ファミリーマートホールディングス相談役):ああ、こういう話はよく分かりますね。
大竹剛(日経ビジネス 編集):そうですか。上田家も実は、元は庄屋で先祖代々の土地を守ってきているんですよね。不労所得で食べていけるとは、うらやましい。
上田:そうではないよ。僕の田舎の町の同級生なんかに、似たような息子がいたわけですよ。
この相談者は、きっと地方都市に住んでいる大地主なのかなと思う。ただ、昔は良かったとしても、戦後の農地改革で土地は少なくなっているよね。それでも、僕らみたいな境遇からすれば大地主には変わりはなく、働かなくても、肉体労働をしなくても、いろいろな上がりがあるというのは、確かにうらやましい面もある。
だけど、もう今はそういう時代じゃないんだよ。親子3代も相続したら、だいたい、もう財産はなくなるんですよ。
大竹:創業者や創業家に取材をすると、よく相続税の話を耳にします。それは仕方がないことだと割り切っている方もいますし、むしろ子供たちには何も残さないと明言している人もいます。一方、何とか財産を引き継ごうと、節税に知恵を絞る人もいますが。
上田:基本的には、3代も相続したら何もなくなっちゃう、そういう税制、仕組みになっているんですよ、この国は。それでも、まだ不労所得で生活できているというのは、大都市圏や地方でもいい場所に不動産物件を持っていて、それがしっかり値上がりしているような人だけでしょう。それを売却して現金を得て、また何かほかのことにしたり、ほかの商売をやったりすれば、また別ですけど、そのまま持ち続けたらもうなくなるんですね、財産は。
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