結婚前に交わした約束事

大竹:今の時代にはありえないですよ。上田さんが40代の頃、20〜30年前は、周りの人もそんな感じだったんですか。

上田:僕はどちらかというと、結婚したときに、「黙って俺について来い」みたいなことを言ったから(笑)。だけど、最近は黙ってないよ、女房も。

大竹:結婚生活に入る前に、口約束と言うか、契約みたいなものを結んだと。

上田:だいたいまあ、向こうもこっちの性格を結婚前から知っていたからね。結婚前にいろいろお互いに条件を出し合って結婚したんだよ。僕はもう、そういう行動パターンの男だとあらかじめ言ったし、女房も僕に絶対にしてほしくないことを言った。お互い、その最初の約束を尊重して夫婦生活を送ってきたんだ。

大竹:奥様が上田さんに要求した「してほしくないこと」って何でしょうか。

上田:絶対浮気はするな。

大竹:浮気ですか。だから、不倫関連の相談にはいつも厳しいご意見を。

上田:特に素人とは、絶対に許さないと(笑)。

大竹:それはこれまで、ずっと守ってきた、と理解しておいていいですか。

上田:おぅ。もちろんだ(笑)。

大竹:一応、聞いておきます。

上田:まあ、それはさて置いてだな。今回の相談にあるように、例えば、子供が同級生から、「家族でどこどこに海水浴に行った」とか「遊園地に行った」とか、そういう話を聞いてきて、女房も「うちはどこにも連れて行ってくれないと子供が言っているよ」と不満を言うわけだよね。そういうのは、どこの家庭でもあると思うよ。

 僕の場合でも、女房との最初の約束があるから、女房は子供たちには、「お父さんは毎晩会社で忙しいんだから、休みの日は寝かせてあげなきゃいけない」とか言ってくれていたみたいだけど、僕にはやっぱり、そういう不満も言うわけよね。そう言われると、逆に僕だって休みの日には「さあ、行くぞ」と思うわけ。休みの日になると、ばばっと、「あそこに行く」「ここに行く」とさ。そうすると、この相談してくれた奥さんと同じ状態になるわけね。

大竹:そうですよね。

上田:突然行くぞと言い始めて。

大竹:本当に、今回の相談者の旦那さんは、上田さんの若かりし頃そっくりじゃないですか。

上田:それで、もうこっちもばっとアバウトに計画して、じゃあ、あそこに行ったらここで飯を食ってこうやって、とかやっていたわけ。当時はスマホなんてなかったから、その通りいかないと、今以上にイライラしていたんだろうね。女房は、「まあ、いいじゃない。夜においしいものを食べればいいし、昼なんかすいているところにしましょうよ。子供はピーピー騒いでいるし」とか言ったり。そうだね、まったく同じ状況だね。

 こういうことを繰り返していくと、女房は何をするか。この相談者と同じセリフを僕に言ったよ。だから僕も、「お前、じゃあ、勝手にやれ」と言ったわけ。女房は、もうとにかく行楽地に行ったら昼は混んでいるし、子供たちは騒ぐし、イライラするし、というわけで、女房は弁当を作り始めたんだよね。だし巻き卵だとか、赤いウインナーとか入れて。僕には、スルメだとか漬物の酒のあてとか。

 ようするに、こういうことだと思うんだよ。旦那が「勝手にしろ」と怒ったように言うということだけど、それは実は、旦那は逆に奥さんが自分の計画でとっととやると、内心は「助かったな」と思っているんだ。

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