上田:それこそが大企業病だね。風通しが悪い、社長の顔が見えない、という会社になってしまうよ。今はやはりこの規模の会社であれば、現場から社長の顔がしっかり見えるというのが、大事でしょう。
大竹:組織の規模が大きくないのに大企業病にかかっているような会社ほど、たちが悪い。
上田:その通りだね。
大企業で学んだことは一回忘れよう
大竹:この方は2年半、大企業で勤めていたわけですが、そこで見てきた大企業のやり方はいったん、忘れたほうがいいのでしょうか。

上田:そうですね。おそらく、かつて勤めていた会社は大企業病にかかっていたでしょうからね。やはり同族会社、親族会社の経営というのは、大手上場企業とは全く違いますから、無理に大企業のやり方をこの会社に持ち込もうとする必要はありません。
大竹:この方は、何度か自分の考えを社長に否定されて、社長に対する信頼感を失いかけているのかもしれません。
上田:だから、社長と1対1で話すときは、感情的に話をしてはいけません。ちゃんと論理的に提案なり、指摘なりをできるように準備してやるべきです。社長も煙たく思っているようだということは、逆に言えば少なくとも、この方が言っていることの一部は社長にとって痛いところをついている可能性があるわけです。一応、社長も聞く耳を持っているということですよ。
大竹:なるほど。
上田:だけど今の段階においては、効果のある提案、意見というのは、社長にとっては、まだ物足りない部分があるように、僕は推測します。
大竹:なぜですか。
上田:未熟だからです。
MBAを取得するための準備を進めているそうですが、現場のことはまだ、あまり分かっていないのではないかな。観念的に大手企業のような組織を作っていこうとする必要はなくて、この会社の実態に合った組織の在り方とはどのようなものかを、社長との対話の中から考えてみてください。それこそ、MBA以上の教科書になるよ。
大竹:もっと現実を踏まえたほうがいいということですね。
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