ユニー・ファミマHD相談役、上田準二さんの「お悩み相談」。今回はメンタルを病み2カ月休んだことが、その後の評価に影響し続けているかも、と悩む男性から。上田さんは「そんな評価はいい仕事をすれば関係ない」と応援します。
悩み:仕事はどんどん高度な内容のものを任されるのに、昇進が遅れています。以前、心療内科を受診し2カ月休んだことが、今も影響しているのでしょうか。
4~5年前から、任されている仕事はどんどん高度・責任のある内容になっていますが昇進の話は先輩社員や同僚が優先されて、まだ見送りのままです。今回も大きな現場を任されており、間もなく完成しますが、本社から会議でたびたび来ている社員からも、なぜ昇進していないのだろうと不思議がられました。
思い当たる内容として、数年前にキャパを超えるほどの仕事と委託先業者のトラブルもかさなり、心療内科を受診し、2カ月休んだ時期があります。これが原因で、成果を出しても本社での評価につながっていないのだろうかと感じています。いつまでも今の職場にいても、体よく使われるだけのように感じますが、家族の生活も考えると安易に辞めるわけにもいかず、内心揺れながら働く毎日です。
(38歳 男性 会社員)
1946年秋田県生まれ。山形大学を卒業後、70年に伊藤忠商事に入社。畜産部長や関連会社プリマハム取締役を経て、99年に食料部門長補佐兼CVS事業部長に。2000年5月にファミリーマートに移り、2002年に代表取締役社長に就任。2013年に代表取締役会長となり、ユニーグループとの経営統合を主導。2016年9月、新しく設立したユニー・ファミリーマートホールディングスの代表取締役社長に就任。2017年3月から同社取締役相談役。同年5月に取締役を退任。趣味は麻雀、料理、釣り、ゴルフ、読書など。料理の腕前はプロ顔負け。(写真:的野弘路)
上田準二(ユニー・ファミリーマートホールディングス相談役):この方は、本社勤務じゃないということかな。
大竹剛(日経ビジネス 編集):そのようですね。「本社から会議でたびたび来ている社員から」と言っていますから。
以前、キャパを超える仕事と委託先とのトラブルがきっかけで心療内科を受診するくらい追い詰められて、2カ月休んだことがあると話しています。それが、今も人事評価に影響しているんじゃないかと心配なようです。今、頑張っていても、本社からの評価につながっていないのではないかと。
上田:だけど、この方を直接、評価するのは直属の上司だと思うんだよな。そうしたらこの方の努力は、直属の上司はたぶん見ているはずですよ。
確かに、心療内科にかかって2カ月休んだ時期があることは、会社の人事記録に載っているでしょう。
ただし、それがいつまでもハンディキャップとして続く会社は、まずないと思うし、あるとしたら、それは人材を生かそうという考えのない会社だな。過去はどうであれ、今、どれだけの仕事をしているかということを評価されるべきです。
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一生懸命頑張れば、その直属の上司が必ずそれなりの評価をするわけであって、それが本社の人事の方に伝わっていくわけです。同僚がどうしたとか、そういうことを気にしないで、まずは今やっている仕事を元気に頑張ってもらいたいなと、僕は思うな。
実際、僕もかつて社長だったころ、昇格させた社員の人事記録を後で確認してみたら、過去に病気で半年休んでいたとか、いろいろなことが書かれていて驚いたよ。
長い会社員人生、病気になって思うように仕事ができなかったり、そういう寄り道をしてしまうこともあるよ。だけど、それをずっと引きずる必要はないし、チャンスを与えないような会社は、いずれ社員から見放されるな。
会社は「使われる場」、だからこそ逆に「使い倒せ」
大竹:直近での働きぶりがどうかを評価すべきだと。
上田:うん。もちろん、病気をした直後だったら、昇格できなくてもしかたない。昇格すれば、今より重い仕事をすることになるから、会社だっていろいろ考えた上で評価して当然だよ。
だけどやっぱり、直近でなければ、上司は病気のことは考慮せず、きちんと評価しますよ。そして、その評価がその上の役員、社長に行く。いつまでも、過去について根掘り葉掘り見ませんよ。会社というのはそういうものです。
だから、この1年、それから来年、きっちりと自分が納得できる仕事をすれば、そんなハンディキャップは必ず消えますから、頑張ってくださいと言うしかないね。
それで、この方は「体よく使われる」という表現をしていますが、そもそも会社というのは、使われる場所なんですよ。
大竹:社員は雇われの身ですからね。
上田:そうでしょ、社員は労働者として会社に使われるんです。だけど、会社に使われるだけではなく、逆に会社を「使い倒す」と思うくらいの姿勢も必要だよ。
大竹:会社を「使い倒す」ですか。
上田:そう。サラリーマンである以上、会社に使われた対価として収入を得ているわけなので、使ってくれなかったら会社に必要のない人間ということになり、収入だって本来得ることができないということでしょう。
大竹:そうですね。
上田:「体よく使われる」のではなく、自分から「使ってくれ」と売り込むくらいの姿勢、別の言い方をすれば、収入を得るために会社を使い倒すくらいの意気込みで仕事に向き合ってみたらどうですか。
僕も、「この会社はうまいこと俺を使うな。しかも、やたらとすごく」と思っていたよ。だからこそ、きっちりと働いてお金をいただこうじゃないかと思っていたね(笑)。いずれにしても、物事は考えようだよ。
大竹:給料をもらう立場ですからね。
上田:うん。休んだ時期があって評価につながっていないと思っているのであれば、逆にそれを帳消しにするぐらい、仕事に集中して頑張ってほしいな。僕はそう思うよ。
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