ユニー・ファミマHD相談役、上田準二さんの「お悩み相談」。今回は入社10年目で「ロジカルな職場」に異動になった女性から。話についていけないという彼女に、上田さんは「自分らしさを捨ててまで周囲に合わせるな」と、自らの経験を語ります。

悩み:入社10年目でロジカルな人ばかりがいる職場に異動になりました。コミュニケーションがうまくできず、焦るばかりで支離滅裂になってしまいます。どうしたらいいでしょうか。

 金融機関で法人営業をしています。入社10年目で中堅なのですが、半年ほど前に今の部署に異動してきて、すっかり自信を喪失しています。以前は業務上のコミュニケーションで困ったことはなかったのですが、今の部署では上司に報告するときもロジカルに話せず、焦るばかりで支離滅裂になってしまいます。

 さらに上司からの指示内容に対しても、回答してみると相手の意図していた内容でないことを回答していたり、指示内容を誤認していたりということが頻発しています。

 確かに、以前よりも規模が大きなお客さまを担当するようになったため、一つひとつの案件が複雑になっていることは事実としてあります。また、上司や関係部署に対して、自信なさそうに話すため、更に色々と突っ込まれてしまい、次の報告や相談に対して気持ちが後ろ向きになり、なかなか次に進めず、行動に時間がかかり悪循環に陥っています。

 一つひとつの事象に対して、自分の意見とその根拠を明確にして話せばいいとは思うのですが、何から手をつけたらいいのか正直わかりません。

(31歳 女性 会社員)

1946年秋田県生まれ。山形大学を卒業後、70年に伊藤忠商事に入社。畜産部長や関連会社プリマハム取締役を経て、99年に食料部門長補佐兼CVS事業部長に。2000年5月にファミリーマートに移り、2002年に代表取締役社長に就任。2013年に代表取締役会長となり、ユニーグループとの経営統合を主導。2016年9月、新しく設立したユニー・ファミリーマートホールディングスの代表取締役社長に就任。2017年3月から同社取締役相談役。同年5月に取締役を退任。趣味は麻雀、料理、釣り、ゴルフ、読書など。料理の腕前はプロ顔負け。(写真:的野弘路)

大竹剛(日経ビジネス 編集):今回は金融機関にお勤めの31歳、女性です。ちょうど入社10年目ということですね。半年ほど前に今の部署に異動してきてすっかり自信を失ってしまいましたと。以前はコミュニケーションで困ったことはなかったけれど、今の部署では上司に報告するときもロジカルに話せず、焦るばかりで支離滅裂……。

 確か、以前にも似たような相談がありましたね。

上田準二(ユニー・ファミリーマートホールディングス相談役):うーん。

大竹:規模が大きなお客様を担当するようになったため、焦っているんでしょうか。

上田:まず彼女は、法人営業ということで、非常に大局的でロジカルな話をしていかなければいけないということに、悩んでいるのかな。周りの社員もずっとそういう風土の中で仕事をしてきているから、話し方も、話の論点も、全部彼女が今まで経験したことのない世界に入っちゃったわけだよ。

 彼女は、そうした職場の風土に自分のペースを合わせなきゃいけないと、非常に緊張しているんだろうな。ところが、やっぱり周りの同僚の方が、長くいる分だけロジックを作るのもうまいし、大局的な勉強もしているし……。そうすると、自分の言っていることが一つひとつ、レベルが低いのではないかと思い込んでしまう。

 周りからの質問に対しても、自分のレベルが低いと思われちゃいけないと焦って話すから支離滅裂になり、しまいには「そういうことを聞いているんじゃない」と怒られるとか。自分でも、そういうことを聞かれているのではないと分かっていながら、気の利いたことを言おうとして、どんどん、話がポイントからずれていってしまう。そうすると、余計にまた、負のスパイラルに陥っていく。そんな感じなんじゃないかな。

大竹:やけに具体的に症状を推測していますが、上田さんにも経験があるのですか。