現場の長が部下に「残業してくれ」と頼む無謀

上田:残業をするな、休日をきっちり取れと常日ごろから言ってきたんですけれども、働いている現場からすると、そうは言ってもやらざるを得ないということがありますよね。その時に、働いている現場の人たち上司はどういうことを言ったらいいのか、と。

大竹:そうですね。今はたぶん多くの人がそのことで悩んでいそうです。

上田:この相談者は、現場で一番のチームリーダーである主任だということですが、主任というのは現場での実務を担当するわけです。この場合、今、会社がやっているプロジェクトがどれだけ重要なことであるかということは、主任より上のマネジメントをやっている人が社員やパート、外注先に話をしなきゃいけないよね。

 そもそも、主任自身もまさしく最前線におるわけですから、主任1人で部下やパートに「お願いだから残業してくれ」なんて言うこと自体、無理がある。

 だからもっと上のマネジメント層に、何で今、この時期にこの仕事を残業してでもやらなきゃいけないのかということを言ってもらわないといけない。この主任さんは、部長なり何なりマネジメント層の人に、「今、私のチームはこういう現状です。だから、納期に応えるためにはマンパワーが必要です。マンパワーを今すぐ増強するのが難しければ、現在のメンバーでこなしていかなきゃいけません。そういうことを、もっとマネジメントとして言っていただきたい」と、まずお願いしないと。

大竹:一応、この相談者も、部長から残業して頑張ろうといった指示があったそうです。

上田:これは、この文面からすると、部長が主任クラスを集めて言ったような印象を受けるね。

 部長には、現場がもっと腹に落ちるように、全員集めたところでスピーチをしてもらわないと。そうすれば、その主任も部下の女性に言いやすくなるわけよね。「部長も話をしたように、今このプロジェクトは重要な案件だから、あなたも少し勤務時間を延長してくれませんか」と。

 それでも、「私は嫌です」と言われたら、それはもう、仕方がない。無理にやらせるわけにはいかない。主任として、会社側になんとか人員を増強してほしいと頼むとか、割り切るしかないんですよ。

 僕も答えとして、「そんなもの引っぱたいてやらせろ」と言いたいけど、それは昔の話だから(笑)。今はそう言った瞬間にダメですからね。

大竹:人手が足りなければ、最終的には人を採用するしかないですよね。

上田:まあ、それが一番スマートなやり方なんだよね。

 話はそれるけど、うちの息子が似たようなシステム系の職場で働いているんだな。

大竹:そうですか、息子さんが……。

上田:システムの人というのは、だいたい、ほかの企業が休みの日だとか、それから早朝だとか、その企業の業務が終わった後に仕事をするわけだよね。だからもう、息子に「飯食いに来い」と言っても、そういう時は全く顔を出さない。「休みを取るなんて全く無理、無理、無理」と。

 だけどもある日、「2週間休む」と言うわけ。「何でや」と聞けば、プロジェクトが終わったから、もう今までの分、全部2週間休んで温泉かどこかに行ってくると。

大竹:いいですね、メリハリがあって。

上田:だから、この主任さんも、もっと上の人から、「このプロジェクトが終了したら、みんなきっちりと休んでくれ」といったことを、しっかりと言ってもらわないと。

 それと、この方に特に注意してもらいたいのは、部下の彼女との感情的な問題にしてはいけないということなんだ。部下が働かないからといって、その部下に怒りをぶつけるとか、不信の念を抱くとか、そういう個人的な感情の問題にしてしまっては絶対にいけない。