子供との時間を作るより前に、妻との時間を作るべき

大竹:怒鳴られたら、「こっちは疲れているんだ。お前こそ、旦那に対する優しさはないのか」みたいに言い返すのではなくて……。

上田:そういうのではなくてね。こっちがうまく奥さんの怒りを受け止めて、愛のある言葉で応えれば、相手にも気持ちが伝わるんですよ。それで、「私、般若みたいな顔をして怒っていたかしら」と自分で気がついてくれる。そういう時には、さりげなく、「お前のその怒った顔もきれいだよ」と言ってみるんだよ。

大竹:いやいや、普通は「バカにするんじゃないわよ」とさらに怒りますって。

上田:普段、そういうことを言わない夫が、突然、しかも奥さんが怒っている時にそんなことを言ったら、最初は怒るよな。でも、めげずに繰り返すんです。必ず、また同じ状況が訪れるから。その時に、また「前も言ったろう、お前のその顔、いいな」と。そう言われると、2回目はきっと笑ってくれるから。

大竹:3回ぐらい続けると、確実に笑ってくれますか。

上田:うん。「あんた、頭おかしいんじゃないの」とね。そうなれば、もう会話がばんばんと弾むよ。喧嘩している時のコミュニケーションというのは直線的だよね。余裕が無いというか、お互いに言いたいことを一方的に相手に直球でぶつけて、それで終わり。コミュニケーションがブツッと切れてしまう。そんな会話は、マイナス効果はあってもプラス効果は何もない。

大竹:直線的にブツ切れ。なるほど。

上田:例え喧嘩をしている時でも、直線的なコミュニケーションにならないように、努力するんです。いくらお互いに仕事を持っていても、休みの日に1時間や2時間、しっかりと向き合える時間を作るんですよ。

 子供がいる家庭の場合は、子供と遊ぶ前に、まずは奥さんとの会話を増やしなさい。奥さんとの会話が増えれば、自ずと子供との時間も作れるようになります。僕は子供が3人いましたけど、子供が生まれてからも、まともな時間にうちへ帰ったことないんですよ。それでも、女房との関係は悪くなかったと思っている。

大竹:帰宅するのは夜中の12時前後とか、そういう感じでしたか。

上田:ええ。しかもまだ40代の頃は、女房に電話もしないで2日も家に帰らなかったとか、そういうことがよくあったね。浮気だとか夜遊びで、というのではなくて、うちへ帰らずにそのまま翌朝、仕事に行っちゃったとか、途中で泊まっちゃったとかね。当然、女房は文句を言う。「警察に電話しようと思った」と言われたこともあった。

大竹:行方不明になったのではないかと、心配したんですね。

上田:うん。行方不明で電話しようと。何の連絡もないから、死んだんじゃないかと思ったらしいんだ。

 心配してくれるのは嬉しいよね。だけど、そこで僕はこう言ったんだ。

 「あのね、俺は必ず定期と名刺は持ち歩いているから、電話がないということは無事だということだ」(上田)

 「ひどいこと言うわね」(女房)

 「まあまあ、その顔、化粧したときより今の顔がいいんじゃないか」(上田)

 ほら、会話になっているわけ。まずこういう遊び心を、奥さんが怒っている時でも忘れないようにしましょう。