期待しているからこそ怒る

上田:だけど、成績が悪い部長は、必ずしもその人の実力が劣っているわけではないんだよね。営業環境的に、その地域は半年やそこらではどうしても業績が上がらないということだってあるわけ。競争が一番激しい地域になっちゃったとか。そんなことは、こっちだって当然分かっている。

 そもそも、厳しい環境にある地域はだいたい出来がいい人に任せるわけ。この人だったら、業績を改善してくれるんじゃないかと期待してね。何とか立て直しをする必要があって、能力のある人を厳しい地域の部長に回していくわけよ。

 だけど、営業部長会議では徹底的に厳しくやる。

 だから、この相談者もなかなか成績の上がらない支店の支店長に抜擢されたのは、きっとそのような背景があるんですよ。成績が悪いと叱責されるのは、あなたには能力がないと思われているわけではないのよ。「お前がやってもダメなのか」というぐらいの気持ちで、言われていると考えてみてください。

大竹:決して、能力がないと責めているわけではないと。

上田:そう。だから、叱責している際の上司の目をよく見てみてください。口では怒っていても、目は「お前は優秀なんだから、期待している」と言っているかもしれない。

大竹:アイコンタクト(笑)。

上田:そう。僕はいつもそうだったよ。だから、ある意味、叱責されるのも、そもそもあなたはそういった役目を担っていると考えることだってできる。

大竹:どういうことですか。

上田:つまり、ほかの支店長に対する檄でもあると。それをあなたが受けているんだと。優秀なあなたが怒られるところを見て、ほかの支店長は「俺のところもしっかりやらないとあんなに怒られるぞ」と思って背筋が伸びるわけ。上はそのような効果も期待しているわけで、決して心から怒っているというわけじゃないですよ。

 だから、この叱責を受けているというのはあなたの支店長としての役目です。支店の業績を上げるために、それを1つのモチベーションにして、自分を励ましてください。

大竹:営業をやりたくなくて避けてきた、とこの方は書いていますよね。そういう人を抜擢したということは、もしかしたら何か新しい風、新しい視点を期待しているのかもしれない。

上田:そう。僕も社長の頃は、管理部門から営業部門に異動させたり、いろいろ抜擢人事はやったよ。

 やっぱり、そのような人は目線が違うからね。会社は、そんな変化も期待するんですよ。だから、会議ではどうしても業績面で叱責されることもあると思うけど、何とか、それを楽しんでください。決して上の者は、心からあなたのことを憎いと思って怒っているわけではありませんから。

大竹:ただ、ご本人はすごく営業が嫌いなようです。

上田:嫌なのは分かっているけど、会社に勤めている以上、自分が好きなことばかりやれるようなわけにはいきませんよ。この厳しい支店を切り盛りするのは、あなたにとって次のステップへの登竜門です。そのような気持ちでやってもらった方がいいよね。

 支店長になって半年だと、なかなか結果も出ないから、もう少し頑張りましょう。そうすれば、事態は徐々に好転するかもしれない。

大竹:頑張った挙句、次の異動で営業専従になるのではないかとも恐れています。転職も考えたいと。

上田:だけど、せっかく会社に期待されて支店長になったんだから、そう思ってはいけないよ。専従の営業職になったらやっていられない、なんて思いながら支店長をやっていたら、降格されちゃうよ。そんな態度は、表に出ちゃうから。

 だから、今与えられた役割を、2年なら2年、3年なら3年の間、きっちりやること。そうすると次の道が開けるよ。今の状況では先が見えない。まずきっちりやることが大切です。

大竹:転職はしないほうがいい?

上田:支店長までやって転職するの? まずやめた方がいいね。管理部門を歩んで来てどんなスキルを身につけているのか、この相談からはよく見えないけれど、よく考えた方がいいですよ。きっと会社はあなたに期待していると思いますから。

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