ユニー・ファミマHD相談役、上田準二さんの「お悩み相談」。今回は支店長に抜擢された43歳男性から。初の営業職場で成績が上がらず、叱責されてばかり。転職も考え始めていますが、上田さんは抜擢人事をした上司の思惑を自身の経験から推測します。
総合職で入社して20年、支店長を拝命しましたが、事実上の営業です。今まで営業はやりたくなく避けてきましたが、サラリーマンである以上、断ることもできず、半年が経過しました。良い成績も出せず、毎日叱責されてばかりで、時折何のために働いているのか分からなくなります。
風通しの良い会社ではないので、自ら異動を口にすることはタブーであり、そもそも誰に相談して良いかも分かりません。同期は、あと数年経てば異動するよ!と言ってくれるのですが、それこそ営業専従職になれば目も当てられません。会社自体に不満はないですが、年齢も考慮し転職すべきか迷っています。そこで安易に転職を考えるのは間違っているでしょうか?(既婚、子供2人)
(43歳 男性 会社員)

上田準二(ユニー・ファミリーマートホールディングス相談役):43歳で支店長というのは、会社でも評価されて昇格してきたということですよね。
大竹剛(日経ビジネス 編集):総合職で入社して20年。私と同じ世代ですね。
上田:どんな営業なんだろうね。いずれにしても、やっぱり会社でも評価されて支店長に昇格したんだけれども、いい成績も出せず、毎日叱責されて、何のために働いているのか分からなくなると。
だけど、あなたが考えているほど、上の役員なり社長なりは、心の中ではそうは思っていませんよ。
大竹:そこまでこの人のことをダメだとは思ってない。
上田:僕がファミリーマートの社長だった頃は、全国各地にいる営業部長を集めて会議をする時には、成績の悪い部長から順番に僕の目に付くように席順を決めていたんだ。それ以前は北から南に順番に並んでいたけど、僕は一番出来の悪い部長から並ばせるように変えたんですよ。
成績の悪い部長から5番目くらいまでは、確実に僕とサシで話をするような感じになるわけね。「まったく、お前のところは成績が悪いな」と、僕がギリギリと締め上げていったわけですよ。
それで、ずっと前の方に座っていた部長が、成績が良くなって後ろの方に座るようになると、ようやく、前の席に座っている人の陰に隠れることができるようになるわけ。そうすると、「おい、大竹はどこ行った。今日はいないのか。やっと人の陰に座れるようになったか」と言ってほめてあげる(笑)。
大竹:なるほど(笑)。
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