一番大切なのは、「心身共に健康であること」
大竹:相談役に退いた後、どんなことを心掛けていますか。
上田:一番は、心身共にできるだけ長く正常であることだと。
大竹:正常であること。なるほど、「健康であること」とは違って、「正常であること」。何やら、奥深いですね。
上田:うん。だいたいみんな70歳過ぎたら、車と一緒で体のどこかが傷むものですよ。それが当たり前です。だから心身共にちゃんと「正常であること」がいちばん重要なんだよね。中古車でも、メンテナンスをしっかりしていれば、きっちりと走れるでしょう。エンジンがかからない、タイヤが動かないなんてことにならないようにしたいものだよ。
それに、体だけじゃないよね。「心」も大切。趣味でナシやらリンゴやらを作って、売り物にならないような味だったとしても、それを作って食べていたら健康になったとかね。果物を作れるような場所に住んで、それでもうけるのではなくて、趣味としてやって心が充実していれば、それで健康になるんだよ。
大竹:ところで、上田さんは5月の株主総会で取締役を退いてから、日々、どんな生活をしているのですか。
上田:それがだね、まだほとんど毎日、会社に来ています。だけど、9月を過ぎたら、ユニー・ファミリーマートホールディングスの上期決算が出ますし、会社に来るのは半分ぐらいに減らしたい。来年になったら、もっと少なくするよ。
大竹:会社に来ないで何をするんですか。
上田:もう、これが今から楽しみなわけです。何をしなきゃいけないと思うのが何もなくて、今日はあれをしよう、来月はこれをしよう、年末はこれをしようと考えるのが、わくわくするじゃないですか。
大竹:逆の人もいますよね。会社での役割を失って、何をしていいか分からなくなって途方に暮れるという……。
上田:うん。そういう人もおるよね。定年後に急にふけちゃったとかね。ストレスがあった方が健康だったとか、何もなくなったら急におかしくなっちゃったとか。
確かに、日々の生活の中で適度なストレスというのは、必要なのかもしれないな。まあ、僕の場合、適度なストレスは女房だから(笑)。時間できて、女房に「これをやろう」と言ったら、「いや、私はそれは嫌、こっちをやる」とか言われるしね。
だけど、僕にだってやりたいことがあるから、もう強引に引っ張り出す。
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