ユニー・ファミリーマートHD相談役、上田準二さんの「お悩み相談」。今回は、同窓会への出席をためらう64歳の男性の悩み。役員などに出世した同期と比べて早く定年退職したことを引け目に感じている相談者に、上田さんは「あなたこそ人生の大先輩だ」と教えを請いたいという。そのワケは?
同窓会の案内がきたのですが、60歳で定年退職した私と比べて、同窓たちは会社役員を務めているなど「友がみな我より偉く見ゆる日よ」という状態です。旧交を温めたい気持ちはあるのですが、同窓会に顔を出すと引け目を感じて、話の輪にも入れないのではないかと、出席するのをためらってしまいます。どうしたら気持ちが切り替えられるでしょうか。
(64歳 男性 無職)
大竹剛(日経ビジネス 編集):今回は、60歳で定年退職をしたという、64歳の男性からのお悩みです。同窓会に顔を出すのが怖いとのこと。どうやら、親しい同級生たちは今も会社役員を務めているなど、出世の階段を登った人が多いようですね。
そうした同級生と比べると、既に退職している自分の姿に引け目を感じてしまっているようです。きっと、ご自身も出世の階段を上り詰めたかったのに、それができなかったという思いもあるのかもしれません。社長、会長を歴任して、70歳まで現役で大企業を引っ張ってきた上田さんは、相談者から見れば、羨ましい存在でしょう。

上田準二(ユニー・ファミリーマートホールディングス相談役):この方は、全くそんなことを思う必要はございませんよ。
大竹:ない。はっきりと言いきりましたね。
上田:僕の同期で会社に入った人間というのは、伊藤忠商事時代の同期ですよね。まあ、その大部分は60歳で定年ですよ。64~65歳のときには、もう9割ぐらいが退職していました。役員になるというのはごく限られた人で、ほとんどは役員にならず定年を迎えるわけですから。
同期会なんかやると、皆さんだいたい来ますよね。彼らが僕に何を言うかというと、「お前はまだ現役で仕事をしていて、大変やな」と。「上田、俺なんかお前みたいに、あの仕事をやってくれ、この仕事をやってくれと頼まれたことがないから、きっちりと定年でやめられた。お前は大変やな、ご苦労さん」なんて言われるわけでね。
逆に僕は聞くんですよ。「あなたは今何をやっているの」と。いろんな答えが返ってくるよね。奥さんと温泉旅行だとか海外旅行だとか、奥さんと一緒にゴルフだとか。今まで読めなかった本を読んだりだとか。最近なんか果樹園をやっているとかいう人もいる。
「お前なんかが果樹園をやって商売をしても、倒産する」なんてからかうと、「いや、だから果樹園で利益を出そうなんてことじゃなくて、好き勝手に作っているだけだ」と言うんだよ。「今度、お前のうちに送ってやるから」と言われて、しばらくしたら本当に送ってきた。これまた、ひどくごつごつした果樹が届くんだよ、もう(笑)。
大竹:何ですかそれは。リンゴですか。
上田:リンゴだとかモモだとか、いろいろなものだね。要するに、僕なんかはそういう人たちに何を聞きたいかと言うと、自分のエピローグ、つまりは終活ってどんな生活をしているのかなんだ。残り少ない人生、どうやって生きていったらいいのか、ものすごく興味があるわけよ。
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