ユニー・ファミリーマートHD相談役、上田準二さんの「お悩み相談」。今回は、45歳の女性の悩み。学生の頃から海外での起業に憧れを持っていたが、これまでの人生、常に母親から妨害を受けて自分の望む人生を送れていなかった。そんな彼女に上田さんは、「甘えるな」と喝を入れる。
悩み:「海外で起業したいと、学生の頃から夢見ていました。しかし、私が女で一人っ子であるがために、常に母に妨害されてきました。そんな母も80歳になり、『好きにしていい』と言ってくれました。今から海外に旅立っても、親を見捨てることにはなりませんよね」

 海外で起業したいと思っております。学生の頃からそのような願望がありましたが、私が女で、しかも一人っ子であるがために、いつも母親に妨害されてきました。

 母は普通に日本の学校に通ってほしいと思っていても、私はアメリカに留学したかった。アメリカの学校に行かせてくれないのなら、今通っている学校にも行かないと反抗し、ようやく留学させてくれました。

 アメリカの高校を卒業すると、今度は日本の大学へ行けと無理やり帰国させられました。私は反発し、大学受験をボイコットして、毎日毎日遊んでいました。そして、ようやく母が折れてくれ、日本を離れていいよと言ってくれたので、今度はフランスへ留学しました。

 フランスから帰国すると、母は私に日本で普通に働いてほしかったようですが、私は日本にいるのが嫌で韓国へ逃げました。そんな私に対し、母は「そこまで日本にいるのが嫌なら、中国で一緒に飲食店の経営をしよう」と言ってきました。それで私も、今度こそは母とうまくやっていけるかなと思い、一緒に上海へ行きました。

 ところが、母は「こんな国は嫌だ。あんたは勝手にしろ」と日本へ一人で帰って行き、私はそのまま中国で働くことになりました。

 こんな自分勝手な母ですが、もう80歳を目前にして、おとなしくなり、初めて「おまえの人生だから好きにすればいい」と言ってくれるようになりました。ですので、今度こそ、私は親に邪魔されずに好きな海外で起業したいと思っています。

 これまでの母との対立の歴史を知らない親戚からは、「一人っ子なのに親を捨てて海外に出て行くのか」と白い目で見られています。それでも、今まで私の人生はずっと母に妨害され続けて、ずっと我慢してきたのです。今度こそは好きにやりたいと思ったとしても、親を見捨てることにはなりませんよね。

45歳 女性(自由業)

大竹剛(日経ビジネス 編集):今回は45歳、女性の悩みです。とにかく、海外で起業したいという願望が非常に強い女性のようですが、その夢の実現をずっと母親から妨害されてきたとのことです。

 それでも、その母が80歳を前にして、「もう好き勝手やれ」と言ってくれたから、この方は「もう好き勝手やっても、母を見捨てることにはなりませんよね」と上田さんに背中を押してもらいたいようです。母親のことを自分勝手だとこの女性は決めつけていますが、むしろこの女性も自分勝手ではないですかね。上田さんはどう思いますか。

1946年秋田県生まれ。山形大学を卒業後、70年に伊藤忠商事に入社。畜産部長や関連会社プリマハム取締役を経て、99年に食料部門長補佐兼CVS事業部長に。2000年5月にファミリーマートに移り、2002年に代表取締役社長に就任。2013年に代表取締役会長となり、ユニーグループとの経営統合を主導。2016年9月、新しく設立したユニー・ファミリーマートホールディングスの代表取締役社長に就任。2017年3月から同社取締役相談役。同年5月に取締役を退任。趣味は麻雀、料理、釣り、ゴルフ、読書など。料理の腕前はプロ顔負け。(写真:的野弘路)

上田準二(ユニー・ファミリーマートホールディングス相談役):相談者には申し訳ないけれども、僕は、このお母さんはものすごく立派だと思うよ。彼女はわがまま放題。あれ、嫌、これ、嫌。母親が言うことに対して、全部ノー、ノー、ノー。これ、したい、あれ、したい。それを全部、母親は今まで許して、しかも支援してきているわけですよ。留学も2回もしている。

 このお金は、誰が出しているんだろうね。それはやっぱり親でしょう。上海で飲食店をやると言ったって、これもお母さんは娘1人で中国で起業することが簡単なものじゃないと分かっていたから、心配で一緒に行ったんでしょう。彼女のことをものすごく心配して、かわいがって、応援してきているわけだよね。

 ところが彼女からしたら、いつもそれが邪魔されてきたと思っている。資金面でも、生活面でも、お母さんはいつも彼女のことを支えてきたのに、彼女はそれを、すべて妨害だととらえている。