20年近く、ある中堅企業で営業を担当してきました。一昨年、同じ業界の大手企業がマネージャーを募集していることを聞き、周囲に推薦されたこともあって中途採用試験を受験し、合格しました。
ところが入社した途端、顧客を見ず上司の顔色ばかり見ている組織だと気づきました。パワハラにも遭い、不眠症になり、現在は業務量を減らして勤務することになりました。仕事とは、上司のためにするものではないと考える私の方がおかしいのでしょうか。最近悩んでいます。
44歳 男性(会社員)
大竹剛(日経ビジネス 編集):今回は、44歳の男性会社員からです。20年近く勤めた会社を辞め、同じ業界の大手企業にマネージャーとして転職したとか。しかし、転職先の職場の体質が、この方の働き方に合わないようですね。周囲は、上司の顔色だけを見て仕事をする同僚ばかりのようで、パワハラにも遭って、精神的にも苦しんでいるようです。

上田準二(ユニー・ファミリーマートホールディングス相談役):これはよくある話ですよね。上司の顔色ばかり見ているといった不満は、どんな組織にもあるものだ。いくら風通しのいい会社といっても、一部の社員は「あいつ、上司にばっかりゴマすって」とか、「上司の顔色を見て、うまいことやっている」なんていう気持ちを抱くものですよ。
だけどよく考えてほしいな。会社、組織というものは、必ず上司がいるわけですよ。同僚も部下も、上司を自分では選べないんだ。一部には、上司を選挙で決めるという会社もあるかもしれないけど、一般的には自分では上司を選べない。
それを踏まえたうえで、上司というのはどういう存在かを考えてみよう。上司の役割というのは、部下を管理し、業績を上げるために働きやすい環境を作り、指示を与えることだ。この方の上司はどういう方か知りませんが、彼はそういうことを経験してきて上司になった。そして、その人にも上司がおったわけだよね。それで仕事もきっちりやってきから、管理職になっているんでしょう。上司になっている人には、それなりの理由があるわけだよ。
大竹:まず、自分の不満は脇に置いておいて、この人が今、なぜこのポジションにいるのか、その理由を考えようと。
上田:ええ。やっぱり上司は上司で、キャリアアップしてきているわけですよ。そういった上司が彼に対していろいろな指示をしたり、あるいは仕事の仕方に対して不満を言ったりしているのでしょう。それに対して、上司を見ないで横を向いてしまっては、組織人としては勤まりません。
ただ、この上司が強烈な個性の持ち主だったら、どうやって向き合うか、それなりの工夫が必要です。
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