「鈍」の心根は読書で身につける
大竹:とはいえ、誰しも怒られたり、理不尽な言い方をされたりすると多かれ少なかれへこむものです。上田さんは、よく平気ですよね。
上田:僕は鈍いの。
大竹:生まれつきですか?
上田:そう。だから相談してくれた彼女も、ちょっと鈍くなった方がいいかもしれないですよ。よく「打たれ強い」なんていう人がいるじゃないですか。普通ならノイローゼになったり、気力が失せたりしてもおかしくないんだけど、なぜか平気という人。
そういう打たれ強い人は、ようするにいい意味で鈍いんです。もちろん仕事が鈍いのは困るよ。でも、「心根を鈍く持つ」ということは何事においても重要なことだと思う。今の時代、必要なのは「鈍」です。「鋭」じゃなくて「鈍」。
大竹:「心根は鈍」でいけと。
上田:そう。「心根は鈍」。そのためには、まずは笑顔です。心で泣いて顔で笑うぐらい「鈍」でいきましょう。やりすぎちゃうと、「あいつ、頭がおかしい」と言われちゃうかもしれないけれどね(笑)。でもそれくらいの心持ちは必要です。
大竹:そういう意味で言うと、この相談を寄せてくれた方も、あと数年間は「鈍」で頑張れということですね。
上田:あと数年間、自分の子供をきっちり社会人に育て上げる。次に、今やっている部署での仕事については、周りからよく見てもらおう、評価してもらおうなんて意識を捨てて、自分で自分を評価する。
そして、笑顔。そうすると、自分で意識せずとも、きっちり働いていると評価される時期が、また必ず来ますよ。
大竹:ちなみに、心根を鈍く持つには、どうしたらいいのでしょうか。鈍くない性格の人が、鈍くなれと言われても、すぐには変われなそうです。ものすごく怒られたりすると、一人になったり、週末に家族といたりする時にも思い出してしまうものです。どうやって気持ちを切り替えるのがいいでしょうか。
上田:本を読むことだね。心沸き立つ本を。
大竹:小説ですか?
上田:小説でも、ノンフィクションでも何でもいいです。たくさんありますよ、ワクワクしたり元気が出たりする本は、世の中にね。そんな本の主人公に、自己投影するんです。そうすると、一人で悩んでいた心が解放されます。
大竹:上田さんは電子書籍でたくさんの本を持ち歩いていると聞きましたが、上田さんの「鈍さ」は読書から来ていたんですね。(参照:経営書より『走れメロス』が好きでも就活に勝つ)
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