少ない仕事をチマチマ分け合ってやってはいけない

大竹:ほかの部署からおこぼれの仕事をもらってきているということは、何とか仕事を作り出さなければという焦りもあるのかもしれませんね。

上田:いろいろな部署を回ってできる仕事を取りに行くというのは、いいことだと思うよ。ただし、少ない仕事を課長代理やその下の部下と分け合ってチマチマやるような、どこかの役所みたいなことをしちゃいかん。

 やっぱり、きっちり部下でもできる範囲の仕事はどんどん権限委譲していく。それで、あなたの仕事がなくなるのは、むしろ喜ばしいことだよ。自分がステップアップしていくための自己研さんの時間ができるわけだからね。

大竹:ただ、勤務時間中に本なんか読んでいると、それこそ周囲から「あいつはサボって何やってるんだ」みたいに白い目で見られませんか。特に、部下からは「俺らに仕事を振っておいて、自分は読書かよ」と。

上田:趣味の本を読んでいるんじゃないんだから、それは堂々としていればいいんだよ。会社に関連するものなんだから。

大竹:遊んでいるように見えてもいいと。

上田:いんんですよ。だって、ビジネス書だとか経理や法務の関係図書といった本なんかは、管理部門の人には特に勉強になるだろうし。たまには、経理の本の下にちょっと小説でも隠して、こっそり読んだっていいでしょう。小説だって、人生の幅を広げるには必要なんだから。仕事にだって、大いに役立つ小説もあるんだよ(「営業に効く「妄想力」は小説の悪役に学ぶといい」)。要するに、ご褒美期間が終わったときに成果を見せてやればいいんだ。

大竹:管理部門だと、営業のように社外から自分で仕事を取ってくるということも難しいですしね。

上田:そんなことしたら、営業から余計なことをするんじゃないと、煙たがられる。むしろ、自己研さんに励んで、例えば、会社に対しては、月に1回ぐらいは業務報告なり業績評価なりのときに、こういう努力をしていますというような事をしっかりアピールするといい。

大竹:アピールしないと、努力が伝わらないですものね。

上田:うん、そう。

大竹:自己研さんに没頭できれば、社内失業状態が続いても、本当に仕事がなくなってしまうのではないかという不安も、感じなくなるかもしれない。

上田:会社だって一番のコストは人件費なんだから、優秀な人材を遊ばせておくなんていう状態は、そう長くは続かない。そもそもね、これはあくまで一時的なものだよ。だからこそ、その時間を有効的に使いなさい。