会社の研修なんて、若い頃はクソくらえと思っていた

大竹:上田さんは暇になったときは何をしていたんですか。以前、「3日働いて2日寝ていた」なんてお話(「疲れているあなた、優秀な同僚には合わせるな」)をされていから、基本は寝ているとか(笑)。

上田:そうだよ。寝ないで働いた後は、当然、寝て過ごす。しかしね、どうしたって仕事が暇になるときはありますよね。僕は読書が好きだから、何か趣味はありますかなんて聞かれると読書なんてよく答えてきたのだけど、忙しく仕事をしている中で本当に読書の時間があったのかというと、それはあるんですよ。必ず、暇な時期というのがあるからね。

 伊藤忠時代にデンマークに飛んで豚肉の輸入で年間契約した時の話(「疲れているあなた、優秀な同僚には合わせるな」)をしたと思いますが、大きい契約をした後なんて、むしろ自分から仕事をさぼっていたんだから。

大竹:仕事をさぼっても、上司からのおとがめはなし?

上田:まあ、その頃は今よりは牧歌的だったんだね。もちろん、取引先へのフォローはしていましたよ。でも、空いた時間はあるわけだな。その時に何をやるかというと、だいたい本を読んだり、会社の研修カリキュラムか何かの教材をパラパラめくってみたり。そもそも、会社の研修なんて、若い頃はクソくらえなんという感じでしたから。

大竹:ただ、研修を受けないと昇進に響きますよね。

上田:うん。昇進試験の基準になる。もちろん、それだけで昇進を決めるわけではないけど、どれだけの自己研さんの研修を履修して修了したかという基準が、伊藤忠にはあったんですよ。

 だけど、仕事で忙しいときに、そんな研修受けられないよな。研修を受けたところで、今まで肉を1日10トンしか売れなかったものが20トン売れるようになるかというと、そんなことはないでしょう。

大竹:かなり生意気だったんだ。

上田:うん、生意気でしたね(笑)。でも、そういった知識はあった方が強いんですよね。だから僕は、時間ができた時に、そういった教材を履修してみたり、あるいは今まで細切れでしか読めなかった本をまとめて読んだり、してきたんです。

 自己研さんは、会社にとってもいいことなのだから、必ずしも勤務時間中にやってはいけないということではないんですよ。特に、会社が指定する研修なんかは、業務の一環なんだから。ただし、仕事と関係のないのはダメですよ。

 ですから、社内失業だといって深く考え込む必要はないよ。もう49歳で立派に課長をしているのだから、会社からご褒美として与えられた時間なんだくらいに思って、自己研さんに費やしてください。

次ページ 少ない仕事をチマチマ分け合ってやってはいけない