それはサラリーマンの宿命だ

大竹:自分で企画した仕事だと、プロジェクト自体に愛着があって、なかなか他の人に引き継ぐことに割り切れない気持ちを抱いてしまうのは、よくあることだと思います。そういう気持ちは、上田さんはどのように割り切ってきたんですか。

上田:特になんとも思わなかったね。自分が手がけた案件1つで、長い会社人生を終えるなんていうことは、あるわけないんだから。案件というのは、常に作っていくものでしょう。成功したら、それはもう終わりなんですよ。

 引き継いだ後も同じ案件を1年や2年フォローすることはあるでしょうが、あくまでもどんな案件でも組織の中の1つの業務としてやっていく、それが仕事ですから。

大竹:そうですね。

上田:だから引き継いだ案件に関しては、もうそれで1回区切りを付けて、あなたはまた新たな案件を作っていくんですよ。それがまさに、プロデューサーという仕事でしょう。

大竹:引き継いだ仕事を振り返らない。引き継いだら、もう前を向いて次のことを考えましょうということですね。

上田:そうです。引き継いだ仕事をいつまでも気にしていたり、口を出したりしていては、それは産休中にフォローしてくれた相手に大変失礼ですよ。

大竹:そう割り切れば、もう悩むことはない。

上田:こんなことを悩んでいることが、あなた自身にとってムダです。限られた思考の時間をムダなことに取られています。客観的に、自分を見つめ直してみてください。

大竹:4月に職場復帰したということですが、きっと自分の手掛けていた案件が産休中にしっかり動き始めていて、面白そうに見えたのではないでしょうか。復帰した瞬間は、やはりあまり仕事はないわけですよね。これから作っていかないといけない。そうすると、片やかつて自分が手がけていたプロジェクトが軌道に乗っていたりすると、華やかに見えて気になってしまう。

上田:会社人生というのは、定年までずっとそれの連続ですよ、僕だって入社してすぐに転勤や担当する仕事の変更なりがあったけれども、それ以来、ずっとそうですよね。僕から変わったからといって、それまで担当していた仕事自体が終わるわけじゃないから、当然、誰かが引き継ぎますよ。それがものすごく大きなプロジェクトだったとしても、取られたなんて思ったことはありません。

 新たな部署へ行ったら、今度は僕が、それまで他の人がやっていた仕事を引き継いでやるわけです。誰かに引き継げば、今度は誰かから仕事を引き継ぐ、会社人生はその連続です。

 サラリーマンにとって、それはもう、1つの宿命的なルーティンなんです。

大竹:サラリーマンである以上、そういうものだと。

上田:そういうものだし、組織で働く以上は、そうあらねばならないんです。もし、この引継ぎがなければ、あなたは産休を取れなかったはずですよ。

 そして、家庭の時間があるから新しいクライアントを見つけられないというのは、あなたの思い込みです。あなた自身の気持ちの問題です。そう思って、自信を持って仕事と育児を両立させてください。

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*この連載は毎週水曜日掲載です。