先輩秘書の「叱咤激励」で心が折れたことがきっかけ

大竹:ただ、ローテーションで戻る、ということは全く想定していなかったようです。子会社の事業部長も、戻ってきても仕事はない、などと言っているようです。十分な説明もなく、子会社に戻ることを突然、言い渡されたことに悩んでいます。原因は何だと思いますか。

上田:先輩秘書から叱咤激励を受けた、と書いてあるでしょう。それで、ご自身が子会社の人事に「親会社を辞めたい」と相談したと。だから、子会社の人事部が彼女の配置転換を考えたんでしょうね。

 ただ、子会社での受け入れが決まるまでには時間がかかるから、その間のつなぎとして、厳しい先輩秘書の下で働くのではなく、別の業務を与えたんだと思うよ。この先輩秘書の下でずっと働き続けていたら、心が折れっぱなしになってしまうと考えてね。

 親会社の側でも、彼女にこれまでとは違う仕事をしてもらいながら、子会社側の人事の受け入れを待っていたはずなんですよ。彼女が子会社の人事に「親会社で働くのを辞めたい」と相談したことを親会社としても配慮して、彼女を早く子会社に帰さないといけないと考えていたのではないかな。そしてようやく、子会社での受け入れが決まって、「今春から」という話になったのでしょう。

大竹:なるほど。

上田:理由は、親会社で働くのを辞めたくなったと、子会社の人事に何度も相談したということが理由ですよ。親会社と子会社の人事部は、ずっとこの件に関してどうするかと話してきたはずです。

大竹:本人は業務が変わって居心地がよくなっていたけれど、人事部では彼女が「辞めたい」と思っているとうことを前提に話が進んでしまっていた。

上田:それ以外考えられないね。ある意味で、先輩秘書のいじめが続いてしまったら、彼女が精神を病んでしまうと、しっかり配慮してくれた結果かもしれない。

大竹:それを彼女は「なんでだ」と困惑している。ボタンの掛け違いなんですね。

上田:親会社が子会社に戻れと言った理由は、それだよ。だから、それは肩たたきとは違うでしょう。

 ただ、子会社の側が「なにも仕事はない」と言っているのは、ちょっと気になる。子会社の側が肩たたきをしているのかもしれない。

 だけど、子会社の側も、今は彼女にしてもらう仕事はないと言っているかもしれないけれど、何もしない社員を雇っておくわけにはいかないから、戻ったらしかるべき仕事が与えられるんじゃないかな。ただ、ぼーっと遊んでいる社員を認める会社なんてありませんから。だから、まずは子会社に戻って、様子を見て下さい。

大竹:子会社も、ちゃんと仕事を用意するはずだと。

上田:解雇というのは、法的にできないから。

大竹:法的な観点では、採用のときに出向先の親会社からも面接を受けたということが、法的にも「問題」であると、この方は指摘しています。この情報からだけでは、具体的な状況がはっきりしないので断定は難しいような気がしますが、いずれにしてもこうした状況は珍しいのでしょうか。

上田:ちょっとよく分かりませんね。

大竹:法律の専門家の方からのご意見をお待ちしましょう。

上田:僕らは法律の問題は専門家ではないからね。いずれにしても、子会社の側が今は仕事が特にありませんと言ったって、しかるべき仕事、業務というのは準備するものだよ。だから、まずは子会社に戻ってみて、その業務がご自身に合っているかどうか判断した方がいいですよ。転職するかどうかを決めるのは、それからだね。

 子会社での扱われ方に悩んだら、また僕にご相談ください。

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