大竹:「東京者は仕事も女性も刹那的」と言いましたが、「田舎者」の上田さんの20代は、どんな仕事ぶりだったのですか。

上田:学校の勉強と一緒ですよ。仕事でも予習、復習をきっちりとやると。その分、多少は勤務時間が長くなるかもしれないけど、逆に自分がやっている仕事の完成度は高くなりますよね。復習というのは、失敗したと思ったら、何で失敗したのかを考えることです。それを考えずに前に進むから、また同じような失敗を繰り返す。だから、まず復習が大事。それで、復習を踏まえて、明日やることを予習する。ようするにイメージトレーニングです。これをやり続けると、絶対に競争に勝っていきます。

大竹:女性との付き合いでも、予習・復習を欠かさなかった?

上田:いやいや、そうではないよ。そもそも、どうして最近の若い人はそんなに女性と付き合いたいのかね。焦らんでも、断り切れないほど女性が寄って来る時が、人生のうちには何度かあるんだから、毎日毎日、女性に焦る必要はないって。とにかく女性、女性と意識しないこと。出会いのきっかけは、必ずある。

大竹:ガツガツするなと。

上田:田舎者なら田舎者らしく、そういうことに日々、意識を集中するなと言いたい。しなくても結局、出会いのきっかけは誰にでも何回も訪れる。

 仕事と同じですよ。目の前の仕事に真剣に取り組んでいる人は、異性からも魅力のある人に見えるんですよ。でも、それはまだ魅力を出し切れるようになるまでの発展途上段階なわけで、周りの東京者が毎月何度も合コンに行っていようが、そんなことに悩む必要はございません。自分を磨けば自然と異性は寄ってくる。逆に、発展途上段階で向こうから寄って来ないのに、ばーっと追いかけてばかりでは、いやらしいとか、気持ち悪いとか言われるよ。そうなったら、みっともないよね。

大竹:そういえば、上田さんは奥さんとどうやって出会ったのですか。

上田:女房にナンパされたんですよ。

大竹:ナンパですか?向こうから言い寄ってきたと。ちょっと想像できません…

上田:女性に興味なかったと言ったらウソになる。けど、独身時代に真剣に恋人だとか何とかというのに興味はあんまりなかったね、はっきり言って。だけど、ふとある時、気が付いたら、もう潤んだ目をした女性が僕を見ていた。何なんだ、こいつはと。僕はお客さんと夜、接待なんかをやっていて、夕方の電車で帰ろうと思ったら、「あ、上田さん」なんて肩をたたかれたんだ。変なところで会うねと思ったけど、それが月に何回も重なるわけよ。正直不気味だったね(笑)

 そんなわけだから、まず今、自分がおる場所、与えられた場所で自分を磨くこと。そうすれば必ず異性が魅力に思ってくれる。イケメンかどうかは関係なく、魅力に思ってくれる女性が近づいてきますよ。

 仕事も全然ダメだと、付き合っている女性にもその雰囲気が伝わってしまう。ダメなオーラが。それで女を追いかけて行ったって、うまく交際できませんでしょう。最近は男も女も、何人もの相手と同時にばーっと遊ぶ人もいるけど、そんなことをしていては、究極的にはお互い恋だ、愛だというエクスクルーシブな関係にはなっていかないよね。

 従って、僕が彼に言いたいのは、与えられた場所で頑張って努力していれば、元気のオーラが周囲に伝わって、必ずそれを魅力に思ってくれる女性が現れるということです。周りが合コンをやっているだとか、楽しく遊んでいるだとか、そういうことは価値のある比較じゃありませんよ。

大竹:与えられた場所で、まずは頑張る・・・。仕事での成功も、女性とのいい出会いも、すべてはそこから始まる。社会人としての上田さんの原点は、そこにあったわけだ。