部下を褒めるときはチーム全員の前で

上田:そう、褒める。もちろん、経験豊富な彼女は、上司であるあなたの提案や考えを、「そんなことはできないよ」と言うでしょう。そういうことは、どんな組織でもよくある衝突です。

 では、そこをどう乗り越えるか。

 まず、リーダーはあなたです。だから、あなたははっきりと、「なぜ私たちはこれをやる必要があるのか」ということを宣言する。断定的に言うんです。そこで、迷いを見せてはいけません。論理的に考えて正しいことなら、迷うことはないんです。

 それでも、経験があなたより豊富な彼女は、「うまくいかなかったらどうするの」とあれこれ理由を見つけて反論するでしょう。それでも、「失敗を恐れていたら、新たな業務は完成しません。そういうことを恐れずにやりましょう」と、自分がリーダーであるということを示す発言を随所に織り交ぜながら、話すんです。

 ただし、そこで重要なのが褒めることです。「だからこそ、これをやるためには、あなたのように経験豊かな人が必要なんです」「あなたを頼りにしています。あなたなしには、この難しい仕事はできません。期待しているんです」とね。

 部下は全部で何人いるんだっけ。

大竹:15人と言っていましたね。

上田:そういう話を、15人全員がいる会議でするんですよ。彼女と2人の場で彼女に伝えるのではなく、全員の前でやる。

 そうすれば、まず、あなたがリーダーであるということをチーム全員が理解し、信頼感を持つようになる。そうしないで、彼女に対してだけ話していても、彼女はあなたのことを信頼しません。他の人には違うことを言っているのではないかとか、疑心暗鬼になる。

 それに、みんなの前で彼女の実力を認め、褒めれば、彼女だって反発しづらくなる。

大竹:褒めるのも、みんなの前でいいですか。

上田:そう、みんなの前でやるんです。彼女が「そんなことをやってもできないよ」と言っても、「いや、やるんです、あなたの力を借りて。みんなでトライしましょう」と。

大竹:それは難しくないですか。彼女が「できない」と言っていることに対して、リーダーとして、「いや、できるんです」と言うと、彼女の意見をみんなの前で否定しているように聞こえて、彼女の立場をなくしてしまうということにならないでしょうか。

上田:それはないと思う。彼女は「できない」と言っているけど、それを頭ごなしに「できる」と否定するわけではないからね。

 どうやるのかというと、「できない理由はどこですか」と彼女に聞くんです。「あなたはそのようなことをよくご存じだから、ぜひ、理由を教えて下さい。そして、どうしたらそれを乗り越えられるか、一緒に考えませんか」と言うんです。「あなたに期待します」と。そこまで言われたら、彼女は反対できない。

大竹:なんか、やたらと具体的ですが、上田さんご自身にも、こういう経験があったのですか。

上田:そう、そう。僕も、ちょうど出向先から本社に戻ったときに、こういう状況に直面したんですよ。