上田:それは、どっちが正しいか、正しくないか、という話ではないんだな。

 「よし、俺と大竹さんにあと3人付けて5人でこれをやるぞと」と言ったら、大竹さんが「いや、上田さん、これはちょっとハードです。あと1人ぐらい付けないと」とか、そんなやり取りをしたんだと思うな。ところが大竹さんは、「そんなことないだろう」と一蹴されて、与えられた陣容でやらないといけなくなったと。

 で、結局、納期に間に合わなかった。それで大竹さんが「ほら、言った通りだ」と言っているわけ。

 それは結果であってね。そもそもこのメンバーで、このスタッフで、ここまでの納期やるんだと決めたわけよね。

 会社としては、「やる」と決めたことをまずやるというのが組織、チームの鉄則でしょう。全員が、もろ手を上げて賛成してからプロジェクトをスタートするなんていうことは、なかなかない。「これをやる」と言ったら、だいたい、何らかの反対意見や異なる意見が出るものだよ。だけど、いったん「これでやろうね」と決めたからには、やるんですよ。

 上司から見たら、最初から「できない」と言っている部下に限って、やるべきことをちゃんとやっていないのではないかと、疑って見てしまう。実際、100%力を出し切っていないという場合も少なくない。最初から、「できない」と思って仕事をしているわけだから。

自分を棚に上げて上司を批判する社員は信用ならない

大竹:上田さん、この方は本当に、力を出し切ったうえで「できなかった」と言っているのかもしれませんよ。「プロジェクトは進めなくてはいけないので、がむしゃらに働く」とご自身も話しています。ありえないくらい、最初の人の手当てや納期が非現実的だったのかもしれません。

上田:確かに、そうかもしれない。だけど、僕が言ったようなことは、往々にして多いんですよ。これまで、何度もそういうケースに出くわしてきた。

大竹:中間管理職は、上長が決めた方針を、何が何でも貫徹する。なかなか厳しいですね。

上田:かなりハードな仕事で、自分自身が「無理がある」と思って取り組んでいて、その状況を上司に伝えても取り入れられず、結局、間に合わず、それで情熱を失う。やっぱりそうでしょうねと。やった仕事の結果が報いられないということでね、それはよく理解できる。

 だけど、やっぱり仕事というのは、最初は「これをやるんだ」「これをうまく成功させるんだ」という意気込みで取り組むことが一番重要なんだよ。最初から中間管理職のあなたが、「できない」と言ってしまっては、チームとして100%の実力なんて出ない、まして120%なんて無理だね。中間管理職としては、まずは「やるんだ」という気持ちでチームを率いることが大切でしょう。

 そういう中間管理職に対しては、普通の上司なら「お前が悪い」なんてことは言わない。上司だって分かるはずよ。みんな必死にやっている姿を見ていたのに、プロジェクトがうまくいかなかったら、「ちょっとマンパワーが不足したかな」「期限の設定がまずかったか」と上司だって思うはずです。ちゃんと、「やるんだ」「結果を出すんだ」「期日まで終わらせるんだ」と、チーム一丸となって動いていれば、個人に対しては何も言わない。それが、上司というものです。

 僕だって、サークルK・サンクスからファミリーマートへのブランド転換が3年半かかると言われていたけど、少しでも統合効果を早く出すために、「1年半でやるぞ」って言ったわけ。現場にしてみれば、「無茶言うな」と思ったろうね。

 だけど、うちの社員はすごいよ。やると決めたらやるからね。要は、目標を決めて、みんなで一丸となってゴールを目指すことが大切なんだ。達成のためにみんなで必死に考える、そのプロセスが大事なんですよ。

 お悩み相談に話を戻しますと、上司に「お前は何をやっている」と言われたときに、やっぱり上司がそう言う根拠はどこにあるのか、ちょっと自分も立ち止まって反省してみてはどうでしょうか。まったく根拠なしに、あなたに対して、「何やっていたんだ」というようなことは、上司は言わないはずです。

 まずは、「上司が悪い」ということはちょっと脇に置いて、自分自身は本当に、プロジェクトを成功させるために、100%以上の力を振り絞って努力したのかということも考えてみてください。まず、考えることが大事です。次のプロジェクトでも、同じような失敗をしてしまってはいけませんので。

 それでもなお、上司の方に問題がある、ということなら、それはもう、その上司のさらに上司に状況を訴えるか、配置転換を会社にお願いしてもいいでしょうね。