ユニー・ファミマHD相談役、上田準二さんの「お悩み相談」。今回は44歳の女性から。面倒な仕事は常に後回し。それでも、最後は帳尻を合わせてきました。そんなだらしない悪癖を直したいという悩みに、上田さんは「諦めろ」と一刀両断。
歳をとるにつれて、面倒なことや嫌なことを後回しにしてしまう癖が顕著になってきました。今始めれば今日中に終わるはずのことでも後回しにして、どうでもいい、ささいな仕事を優先させてしまいます。その結果、肝心のタスクは期限前日にドタバタで手を付ける、というようなことを繰り返しています。
「procrastinator」(やるべき仕事をぐずぐずと後回しにする人のこと)という単語があると知ったときは、「私のことだ!」と驚きました。世の中に似た性向の人は多数存在しているようですが、なぜ、計画的に物事を進められないのかと、我がことながら悲しくなります。
ひどいときには、提案書作成のために週末出勤したのに、全然作業をせずネットニュースを見て時間をつぶしたりしてしまったこともあります。提案書は月曜日に深夜まで残業して完了させました。もはや、自分で自分が理解できません。
今のところ、期限に間に合うぎりぎりのところで重い腰が上がるので、なんとか期限を守れていますし、この怠け癖は周囲にはばれていないようです。しかし、いずれ堂々と約束を破るようになってしまうのではないかという心配もあります。なんとか自分自身をコントロールして、時間を効率的に使える方法はないでしょうか?
(44歳 女性 会社員)

大竹剛(日経ビジネス 編集):遅ればせながら、あけましておめでとうございます。2018年最初の質問は、正月気分が抜けなくてダラダラと仕事をしている人にも、参考になりそうな悩みですね。
上田準二(ユニー・ファミリーマートホールディングス相談役):こちらこそ、今年もよろしくお願いいたします。
確かに、年始にふさわしい質問だね。こういう人は、多いのではないかな。
大竹:この方は、いずれ堂々と約束の期日を破るようになるのではないかと、恐怖感すら覚えています。なかなか、筋金入りのダラダラ人間のようです。
上田:意外とこういう人は結構多いよ。身近にいるからよく分かる。
大竹:奥様がそうだとか?
上田:いや、女房からしたら僕のほうがよほどだらしがない人間に見えるでしょう。朝は自分では起きないしね。誰かに急かされないと、動かない。だけど、誰しも思い当たるふしはあるんじゃない?
月曜日が締め切りの仕事があったとして、その前の週の水曜日くらいから取り掛かろうと考えていても、いざ、水曜日になると、「もういいや、明日にしよう」って後回しにしてしまう。それで、翌日になったら、「いやー、来週の月曜日だから、まだ時間はある」といってやらない。さすがに金曜日くらいになると焦ってくるんだけど、いや、だけど月曜日なら土日もあるぞと。それで、週末にやることにするんだけど、土日はまた遊びに行っちゃうんだよ。
大竹:大きな仕事を後回しにして、目の前のささいなことを先にやっちゃうんですよね。
上田:そうそう。みんな、そういうことを経験しているから、そういう癖を直したいと思って、「今回こそは早めに取りかかろう」とか考えるんだ。だけど、それで成功した人はいますか?無理でしょう。こういう人は、誰かに「それはいかん」だとか「直せ」だとか言われたって、直りません。自分で変わろうとしたって、もっと難しい。一生、そういう癖は変わらないんだよ。
ただ、それでも世話はない、大丈夫だと自信を持ってください。こういうパターンで生きてこられたあなたは、これまで期限内にそれなりに仕事を完了させてきたんですから。こういう人は、そういうリズム感の人なんだよ。それを悩み始めたら、全部自分を否定していかなきゃいけない。
まあ、それも一つの個性なんだな。そんな個性を自分で否定して、事前準備から何からぴしっとやれる人間に、明日からなれるかというと、無理、無理。
もはやその人は、そういうふうにプログラムされているマシンなんだよ。
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