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 この連載において、会議では「20代は質問」、「30代は発言」が大切とすでに指摘しました。

 では40代の役割は何でしょうか。

 40代社員は個人よりも、チームで動くことが求められます。今の40代は、ちょうど1967年から77年生まれの第二次ベビーブーマーで、特に73年は出生数が209万人を超えてピークとなっています。ちなみに2016年の出生数は98万1000人です。

 その意味で、今の40代は、競争相手が多く、過酷な競争を戦ってきました。受験はもちろん、会社に入っても同期が多く、限られたポストを争っています。では、どうしたら周囲に差をつけられるのでしょうか。

会議で差がつくファシリテート術

 答えは、数多くこなす会議を利用することです。具体的には、会議を“ファシる”ことです。事がうまく運ぶように舵取りすることをファシリテートと言いますが、その“略語”です。会議で言うと、周囲の意見を引き出し、整理し、ゴールへ辿り着くための支援を意味します。

 実際には、会議で、これをこなすのは難しいことです。ファシテートを体系立てて学ぶ機会は少ないと思いますが、今回はポイントを説明します。

①終わる条件を決める

 効率の悪い会議の典型は、「結論が出ないこと」です。会議には制限時間が必ずあります。では終わりが決まっているのに、長引いて結論が出ないのでしょうか。それは「何をしたら終わるのか」が定まっていないからです。

 そこで、会議を始める前に全員の前で「終わる条件」を確認しましょう。
 例えば、こんな感じです。

  • 問題点が1つ、確定できたら終了。
  • 解決策が2つ以上、抽出できたら終了。
  • 解決策のA案、B案のどちらかに決定できたら終了。
  • 参加者全員で合意ができたら終了。
  •  

 ポイントは、会議前に「~できたら終了」とホワイトボードに書き出し、参加者全員で共有することです。

②意見を広げる(拡散)

 会議に入ったら、制限時間を2つに区切ります。前半は、「広げる(拡散)」。後半は「まとめる(収束)」です。「広げる」は風呂敷を広げ、その上にたくさんのモノを並べるイメージです。

 具体的に広げるは周囲の意見を引き出すことです。1つめのコツは「決してノーと言わない」です。どんなトンチンカンな意見でも反対しないで、肯定的にテーブルに載せます。2つめのコツは、参加者全員から意見を引き出すことです。その際に、大きめの付箋紙に書いてもらうと一斉に意見を募れます。しかも別の発言者の影響を受けません。

③意見をまとめる(収束)

「まとめる」は、風呂敷がまとまるように、不要なものを取り除くイメージです。では、どうやって捨てるのでしょうか?答えは「分別」にあります。「要るもの」「要らないもの」をどんどん振り分けていきます。その振り分け方にも2つコツがあります。

 1つめのコツは、「実現できるか」の視点です。もっとかみ砕くと、現実的に「実現が簡単か」「実現が難しいか」で振り分けましょう。2つめは、「インパクトがあるか」の視点です。問題に対する解決策として、「効果が高そうか」「効果が低そうか」で振り分けましょう。

4つの窓に意見を振り分ける

 実は、この2つは同時に割り振ることができます。それが以下のペイオフマトリックスです。