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 この春に昇進や昇格をした方々も多いでしょう。そろそろ新しい職務に慣れてきた頃でしょうか。

 特に20代から30代になり、課長補佐や課長に就いた会社員は、その役割が変わってきます。

 個人としては気力や体力が充実し、仕事のやり方も覚えている一方、組織人としては上司から成果を期待され、部下からは指導力を求められます。まさにプレイングマネージャーとして、忙しい日々を送っていることでしょう。

 では会議においての役割とは何でしょうか。40代や50代の上司が開く会議で、「場を締める」ような、参加者として重みのある発言が期待されます。ところが、現実には部長ら上司から30代社員について多い不満とは、「無発言、無気力体質」です。期待と現実に大きな差があるのです。

 この差を埋めるヒントは、30代社員が「悪魔の代弁者(Devil’s Advocate)」になることです。悪魔の代弁者とは、批判的な立場で反対意見を述べる役割のディベートテクニック用語です。

 一般に会議は、時間に制約があるため、「これでいいよね」という同調傾向になりがちです。それで会議は終了しますが、安易な同調は妥結案になりやすいばかりでなく、議長や参加者による重要事項の見落としにもつながります。

 そこで“一人野党”となり反対意見を述べることで、会議を活性化させ、本質を気付かせる役割を担うのです。

「悪魔の代弁者」の効用とは

 しかしながら、悪魔の代弁者になるには勇気が要ります。反対意見は雰囲気を乱し、敵を作る怖れも多分にあるからです。「反対でも黙っておこう」という臆病な気持ちが出てきがちです。

 まさに悪魔の代弁者は両刃の剣です。反対意見は、多様性を歓迎する上司からは感謝されます。一方で、自説で早く幕引きを図りたい上司からは、疎まれます。

 それでも悪魔の代弁者が大切です。そこには大切な振る舞い方があります。ポジティブ(前向き)な表現をすることです。

 会議で批判的な発言をしても、表現は「ポジティブフレーズ」を付け加えます。

 反対意見が雰囲気を乱す理由は、後味が悪いからです。意見を言い放つと周囲の印象を悪くします。そこで、「もっと良くなります」などと一言加えるだけで、印象が変わります。