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多くの企業が新年度を迎える季節。新入社員も加わることから、ビジネスパーソンは新鮮な気持ちで仕事をしていることと思います。私もボールペンを新調したり、ビジネス誌の定期購読を始めたりしています。新たな気分で仕事にスイッチを入れるためです。
自身にスイッチを入れて、気分を高めるという意味では、スポーツ選手が行う「ルーティン」が有名です。例えば、著名ラグビー選手の五郎丸歩氏にはゴールキック前に両手を組んで動かすなどの一連の動作があります。また大相撲春場所で優勝した横綱・稀勢の里が、取り組み前に顔面を2回たたく動きもルーティンと言えます。
それらは、毎回寸分違わず繰り返されます。ルーティンは、「routine=決まりきった仕事、慣例」がもともとの意味です。
ラグビー五郎丸選手、横綱・稀勢の里に学ぶ
ただ、アスリートにとってのルーティンの目的は、ただ1つ。
勝利へ貢献する精度を高めることです。五郎丸選手は、80%以上の成功率といわれるゴールキックの精度をさらに高めるため。横綱・稀勢の里は、左おっつけから左四つへの展開に持ち込み勝利すること。
ルーティンは、勝利に近づくための儀式でもあります。
一方、ビジネスパーソンにもルーティンがあります。例えば、毎週開く「定例会議」。ただ、それは“勝利”に貢献しているでしょうか。その会議で参加者のヤル気が高まり、成果につながる会議であれば、文句はありません。しかし、そうでなければ、ただの「慣例」に過ぎません。
会社員に会議についての不満を聞くと、生産性が低い「定例会議」に集中します。では、どうすれば改善できるでしょうか。
まず会議の目的を明確にしましょう。それは大きく3つあります。
・「決定」会議
決断をする会議。ゴールは、「可決(OK)」か「否決(NG)」か。
・「拡大」会議
発想を拡大したり、飛躍した意見を求めたりする会議です。ブレスト(ブレインストーミング)とも言えます。
・「共有」会議
意思伝達のための会議。関係者全員が参加します。全社員会や朝礼がそれにあたります。
中でも多いのが、「共有会議」です。情報の共有は大切ですが、気を付けないと多くの定例会議が、共有会議のようになってしまいます。本来は意思決定をするべき「決定会議」までもが毎週繰り返すうちにそうなってしまうのです。なぜなら意思決定は大変な労力を伴います。特に議長は異なる意見を調整して、1つの結論を導かなくてはなりません。これに苦痛を覚えるとそれぞれが意見を述べるだけの“共有会議”が増えてしまうのです。
意思決定を先延ばしするだけではなく、参加者の労力と時間を奪い、企業の競争力も弱めてしまいます。
成果を出す3段階の視点
つい先日も、ある会社から「共有会議を活性化したい」との相談を受けました。その定例営業報告会議では、各支店のトップが営業報告と最新トピックを話していますが、実際は営業実績など紙にある数字を読むだけとなり、停滞ムードが漂っているとのことです。本来の目的は優秀な営業社員が持つノウハウの共有にあるといいます。
そこで私は、「何かを気付かせたり、新たな方法を修得してもらったりできるように変えていきましょう」と答えました。
その具体的な手法は以下の通りです。
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