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3月末はビジネスパーソンの“大晦日”。その日は、多くの企業が会計年度末を迎えます。学生の卒業に伴い、新卒社員の入社を4月に控える状況はお正月を迎える前日の“大晦日”の感覚と似ているかもしれません。
いずれにしても3月が年度末というのは、日本企業独特の節目と言えます。さて、現在からさかのぼることわずか3カ月前、大晦日にはどんなことが話題だったか思い出せるでしょうか。
2016年12月に騒がれたのが、国民的アイドルとして名を馳せたSMAPの解散劇です。毎年のように紅白歌合戦に出場していた彼らの姿は昨年の会場にはありませんでした。そのさなか、彼らはどこにいたのでしょうか。
誰がSMAPの解散打ち上げに参加したのか
真偽のほどは定かではありませんが、中居正広氏、稲垣吾郎氏、草彅剛氏、香取慎吾氏に加え、元メンバーの森且行氏の5人が、高級焼肉店で打ち上げパーティーを開いていたと報じられました。その宴席に、キムタクこと木村拓哉氏はいなかったと言います(「日刊ゲンダイDigital」2017年1月5日付記事による)。
仮にこれが事実であり、元リーダーの中居氏が宴席を設けたとすると、木村氏が参加しなかった理由は以下の2つが想定できます。
・想定A:呼ばれたが、行かなかった
・想定B:呼ばれていない。だから、行きようもない
これら2つには大きな違いがあります。違いは意図的な“仲間外れ”の意識が働いているか否かです。もしB(呼んでない)であれば、「仲間ではありませんよ」というメッセージにもなり得ます。
芸能誌を中心に様々な推測が展開されました。ですが、実際のところ、真相は当人たちしか知り得ないことでしょう。ここではあくまで仮説を立てて、会議のあり方に引き付けて考えてみます。
大晦日を節目とし、打ち上げを企画したのが中居氏としましょう。中居氏は、元メンバーの森氏には声を掛けたが、木村氏は呼ばなかった。なぜなら1人欠けてでも場の雰囲気を高める「和」を重視したからではないでしょうか。
木村氏と香取氏の不仲や、木村氏を軸としたメンバー内の意見対立が報じられていましたが、そのためかSMAP内の雰囲気が悪くなっていたことは、テレビを通じて視聴者にもなんとなく伝わっていました。大晦日に集まる意義が、集合が目的ではなく、最後に笑いあって終わることが目的であれば、中居リーダーの判断は適切なように思います。
会議には3つのステージがある
前回、効率的に会議を進める最強会議フレームをご紹介しました。「会議前」、「会議中」、「会議後」の3段階で最初に考えるのは、「会議前」ステージになります。
「会議前」で重要なことは、「誰を呼ぶか」に尽きます。会議には、3つの目的、すなわち「決定会議」、「拡大会議」、「共有会議」があります。その目的ごとに以下の人員とそのタイプを絞り込むことが重要としました。
・「決定」会議
呼ぶ人員:決裁者、プレゼンター、ご意見番ら。
呼ばない人員:非決裁者、一般社員。
・「拡大」会議
呼ぶ人員:専門家、アイディアマン。
呼ばない人員:批判家、超現実主義者。
・「共有」会議
呼ぶ人員:関連者全員(絶対に抜け漏れがないようにする)
呼ばない人員:部外者
会議の目的に応じ、人選をする。しかし、これは言うほど簡単ではありません。なぜなら、「一応、呼んだ方がいい人」が存在するからです。呼んだ方がいい彼ら彼女らを「一応君(いちおうくん)」と名付けてみます。対照的に、会議に必要な人は「必要君(ひつようくん)」です。会議というのは、最少人数の「必要君」で構成された方がうまく運営できます。
人数増で論点がずれて、効率も落ちる
なぜなら、意見が活性しやすく、論点もズレにくいからです。しかし、「一応君」で会議の人数が増えれば、議論が活性化しないばかりか、論点も枝葉に流れやすく、効率も落ちます。
そんな時、会議を招集する議長はどうすればいいのでしょうか。
答えは、「目的に応じ、適切な人を呼ぶ」でいいのです。もっと言えば、「目的遂行できる人を呼ぶ」でいいのです。いや、もっともっと言えば、「好きな人を呼ぶ」でいいのです。
ただ、呼ばれなかった「一応君」が機嫌を損ねることにもつながります。形式的に必要とされたいため、「仲間外れ」を嫌がるからです。
SMAPの場合、キムタクをあえて呼ばなかったのであれば、「仲間外れ」のメッセージになりえると述べました。2度と結成することのないほど亀裂が入ったグループであればそれでいいでしょう。
しかし、企業で会議を繰り返すに際して、「一応君」にはそんな態度は取れません。同じ職場で顔を合わせ、人事異動で自分のチームに入ってくる可能性もあります。そのための最善の対策が、「事前・事後の共有」です。
対人関係であつれきを生む大きな要因が、情報共有の欠如です。「そんな話、聞いてないよ」という状況がもっとも良くないのです。極めてカンタンなことですが、「一応君」に対して、「事前・事後の共有」をすることが大事なのです。これを行うことで「仲間外れ」にされた気分は見事に消失します。
では、具体的にどうやって「事前・事後の共有」を行うのでしょうか。以下の表に対策をまとめました。
まず事前(会議前)ですが、メール共有はやめましょう。ニュアンスが伝わりにくく「仲間外れ」感が助長されてしまいます。すれ違いでも立ち話でもいいので、「あの件ですけど、時間がないので有識者だけで打合せだけする予定です。ご多忙と思いますので、結果だけ共有しますね」で済みます。
このセリフを言い終えるのに10秒とかからないでしょう。しかし、この10秒があるのとないのでは、大きな差が生まれます。必ず、口頭で共有しておきましょう。
会議は議事録で報告を
次に事後(会議後)ですが、これは口頭ではなく、議事録をメールなどで配布しておきましょう。口頭だと伝え漏れがありますし、議事録配布だと、「仲間から外れていない」感が当人に生まれてきます。議事録配布するメーリングリストに名前を入れるだけなので、5秒とかかりません。
これら15秒の手間だけで、会議に呼びたくはない「一応君」を除外できます。しこりを残さずに、です
会議は時間が限られています。必要な人材だけを集め、必要な議論を展開することを最優先させましょう。そのことで、ああだこうだ言う人は、丁寧に「15秒ケア」をしてあげればいいのです。
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