三原山の話に戻します。国土庁の「枝」の会議が終わる深夜には、1万3000人を超える島民と観光客の避難が始まっていました。「枝」を一切無視し「幹」の論点で動いた中曽根総理、後藤田官房長官、佐々氏を中心として、役人たちの会議より早く行動していたからです(参考文献:佐々淳行著 『わが上司 後藤田正晴 決断するペシスミスト』 文春文庫、2002年)。

 では、頭が良いはずの役人達は、どうして意味のない会議に時間を費やしていたのでしょうか。

「~について」ではなく「~なのか」

 三原山の緊急会議が意味のない会議になってしまったのは、論点がズレていたからです。島民避難という「幹」を論ぜず、どうでもいい「枝」が論点になっていたことに尽きます。

 会議には、考えるべき「論点」が必ずあります。その論点は、「~について」という題目ではなく、「~なのか」という疑問文でなければなりません。会議は、その疑問文に答える内容が論じられるべきなのです。

 その意味で、「論点選び」は極めて重要だと言えます。しかし、これが難しい。繰り返しますが、数多くのことから考えるべき論点=疑問点を抜き出すことが大変難しいのです。

 会議術を学ぶ受講生には、良い論点、論じるべき価値のある論点を見つける簡単な公式を教えています。

論点を導く公式=数値を入れて比較する

 2つほどケースを掲げて、それぞれに悪い例、良い例を挙げましょう。

【Aケース:ダイエット】
◆悪い論点:効果的なダイエットについて
◆良い論点:どうやって現在70kgの体重を3カ月で、60kgにするか。

(解説)
 悪い論点は、疑問文になっておらず具体的でないため、会議をしたとしても良い議論にはならないでしょう。良い論点は、3カ月で10kg減量するという具体的な目標、それも厳し目の目標があります。論じられる内容もダイエットの他に運動も加えるなど、具体的になることが期待できます。

【Bケース:マラソンの走力アップ】
◆悪い論点:マラソンタイムを短縮することについて
◆良い論点:1年後の大会までに、フルマラソンのベストタイム(4時間)を30分短縮するためには、どんなトレーニングをすべきか。

(解説)
 これも悪い論点は、疑問文ではなく、論点自体が抽象的でシャープではありません。良い論点は、1年間かけて30分短縮するかが論点なので、1か月で2分強、短縮するための案などを論じることが可能になります。

 両方のケースとも、「数値を入れて比較する」という公式で論点化されています。先の三原山のケースの場合はどうでしょうか。