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前回、会議の質を上げる3つのポイントを紹介しました。

会議前:会議の論点を定め、人員を選定しているか。
会議中:3つのステップ(拡大・分割・俯瞰)で会議を運営しているか。
会議後:会議成果を共有し、行動につなげているか。

 では、本コラムをご覧の読者はどうでしょうか。「効率的」な会議に臨んでいるのでしょうか。ご自身のセルフチェックのために、「非効率」な会議にありがちな状況をまとめてみました。試しに以下の確認項目に該当するかどうかチェックしてみてください。

【非効率会議にありがちな状況】
ステージ チェック項目 該当確認
会議前 ①会議の目的が明確に決まっていない
②明らかに会議に不要な人員を招待している
会議中 ③議長が、ゴールを意識して運営していない
④参加者の多くが無関心で発言しない
会議後 ⑤議事録が会議当日に配布されない
⑥次の行動につながるようタスク化されていない

 チェック項目に掲げた①~⑥について、詳説していきましょう。

①会議の目的が明確に決まっていない

 会議とは1人以上の人員で成り立っています。自分1人ではないので、自由な意思決定ができない反面、複数参加者による多様な視点で得られるものがあるからこそ、会議が行われます。その目的は大きく3つあります。「決定」「共有」「拡大」の3つです。会議を行うからには、「なんのための会議か」を見極めなければなりません。

②明らかに会議に不要な人員を招待している

 上で述べた会議の目的ごとに自ずと人員が絞られてきます。

・「決定」会議
 この会議は、決裁権者が多く集まります。そのゴールは、「可決(OK)」か「否決(NG)」の大きく2つに振り分けることです。

・「共有」会議
 この会議は、楽天グループの全社員が集まるような大規模なものから、小グループ単位で行うものまで様々です。そのゴールは、「意思伝達」であり、繰り返し行われることがあります。

・「拡大」会議
 この会議は、同じ仕事に携わるプロジェクトメンバーなどで多く見られます。「三人寄れば、文殊の知恵」ということわざがある通り、凡人であっても3人集まれば、すばらしい知恵が出るという意と同一です。発想の拡大や飛躍がゴールです。会議の目的別に人員が選り分けられていなければなりません。

③議長が、ゴールを意識して運営していない

 会議の運営には、議長が必要です。議長のいない会議は、絶対にうまく運営されません。しかし、注意すべきは、議長が存在するのに、効率的に運営されないことであり、実はこのケースが散見されます。

 非効率運営の理由は、議長自身が上述した会議の目的を3つに振り分けて、それぞれのゴールを設定していないからです。そんな会議は、時間が長く、何も決まらないことが特徴です。

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