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 突然ですが、会社に勤めるビジネスパーソンにお願いがあります。

 ご自身の手帳やスケジューラーを開き、どれだけ「会議」に時間を割いているか計算してみてください。どうでしょう。スケジュールに占める「会議」の数と時間って、驚くほど多くありませんか。

 朝会、営業会議、進捗会議、他部署との連携会議、半期に1度の戦略会議、役員会議…。会議、会議、会議のオンパレードのはずです。

 そして、こんなボヤキを抱えていませんか。「会議、会議、また会議で自分の時間が取れない…」。「意味のない会議で、時間だけが無駄に過ぎていく…」。

 会議を仕切る、もしくは会議を部下に任す立場の管理職であれば、「お通夜じゃあるまいし、また誰も発言しないよ…」、「会議に“ぶらさがってる”部下たちばかりだ…」といった不平に近いボヤキも聞こえてきそうです。

 「ボヤキ」と言ったのには理由があります。「痛み」がないので、「悩み」にならないのです。悩みにさえならない「会議」。しかし、改めてスケジュールを眺めてみると、なんとまあ、会議に支配される時間が多いことでしょう。愕然としてしまいます。

「何を決断したか」が肝心

 ビジネスパーソンにとって、なくならないもの、それが「会議」です。忙しいビジネスパーソンにとって、非効率な会議ほど避けたいものはありません。分かってはいるけど、何の手も打たず、ただ会議をやり過ごしてませんか。

 あなたの部下、いやもしかしたら、あなた自身が非効率会議に文句も言わず、ただ参加している「ぶら下がり型ビジネスパーソン」ではありませんか。

 実はこれがやっかいです。非効率会議は、ボヤキになっても痛みがない分、悩みとして顕在化されにくいからです。

 「悩みとして顕在化されにくい」ということは、言い換えれば会議があると仕事をしているつもりになってしまうことを意味します。仕事をしているつもりというのは、安心してしまうのです。「あー、会議に次ぐ会議で、オレほど忙しいビジネスマンはいないよな」という方は、次のように問いかけてみてください。

 「それらの会議で何を決め、何を決断しましたか」

 答えられなければ、会議にぶら下がって安心している証拠です。

 ボヤキが悩みにならなければ、仕事の効率を上げる機会がいつまでたっても改善されないのです。これは、実にもったいない。「非効率型会議」を「効率型会議」にするだけで、劇的に仕事の質は圧倒的に上がります。

会議は不要どころか、絶対に必要

 ボヤキが多い「会議」。では、そもそも「会議」は不要なのでしょうか。

 ともすれば、「会議」自体が悪者の代名詞とされてしまうこともあります。ちまたには、会議を減らす、会議をやめる、などのノウハウ本も見かけられます。長い会議を短くするために、座る会議をやめて、立って会議をする会社が注目されたこともありました。

 しかし、会議についての問題の本質に近づかず、手法論に終始するノウハウは、本末転倒と言わざるを得ません。

 「会議は不要か」という問い対して「いや会議は、絶対に必要です」が私の解答です。これは私見ではなく、各界のトップランナーも異論を唱えず、実践していることです。いくつかトップランナーの実例を挙げましょう。