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「弊社の強みは、豊富な実績と知見に基づいて、何でも低価格でサービスを提供できることです」

 当社にやってきたA社の営業マン。私からの「御社は、同業他社と比べて、どのような強みをお持ちなのですか」という質問に対して、このように返してきました。

 それを聞いた私は、この間も似たような言い回しを別の営業マンから聞いたなと思いながら、提案が書かれた資料を眺めていました。

 同じ日に、今度はB社の営業マンが訪問してきました。そして、A社の営業マンにした質問を彼にも聞いてみました。

 すると、B社の営業マンは次のように答えました。

 「お客様のご要望に合わせてサービスの内容をカスタマイズ(仕様変更)できる点にあります。ただ、その分、他社さんに比べて、打ち合わせの回数は多くなります。コストもそれに応じて少し上がりますが、それは対応を相談できればと思います」

 B社の営業マンは、メリット面だけでなく、正直にデメリット面も提示してくれました。一方で、A社の営業マンが説明は正直に言うと信頼できない雰囲気を感じました。

 最終的に私はB社に発注することにしました。

 今回のケースについて改めて考えてみましょう。

 A社の営業マンが私に伝えてきた「強み」は、どの会社も打ち出しているようなお定まりの内容でした。私自身、会社を経営していると色々な提案を受けるのですが、このような話や資料をよく見かけることがあります。

 実際、他社の追随を許さない突出した商品やサービスもあるかもしれませんが、価格や性能などすべてで競合を上回るのは、なかなか難しいはずです。

あえてデメリットも伝える

 ここで、旅行先のホテルや旅館をサイトで調べて予約する場合を考えてみましょう。
 それぞれの施設が豪華な部屋やオーシャンビュー、地場の食材などをその良さをうたっています。悩ましいのは、「その中から、決めること」です。

 判断の材料として利用者のコメントなどを見ると、生の声が掲載されています。例えば、「オーシャンビューだが、駅から遠い」あるいは「地場の食材はおいしいが、季節は冬に限る」などです。

 こうして条件を比べて、自身の優先順位から予約先を決めるでしょう。