そうです。ここで、仮に蛍光灯が1万本あるビルがあるとしましょう。ここに蛍光灯を納入するのではなく“1年間、明るい状態を維持する”という“ソリューション売り”をするとします。とりあえず原材料費だけ考えることにし、蛍光灯の平均寿命が1年だとすると、1年で何本取り換える必要がありますか?

依頼主:「それは当然、1万本ですね。」

 その通りです。では、寿命が10%延びたとするとどうなりますか?

依頼主:「先ほどと同じで、約9090本。なんと900本以上も減ります。契約金額がそのままなら、この原材料費分は丸々儲けになるということですね!」

 そう。技術で製品が良くなれば、それだけその企業が儲かる。そういう企業になるためには、「製品の中から、<有用な作用だけを分離>して、何を提供するのか考える」、これが大事だと思います。

依頼主:「なるほど。考えてみたいと思います。」

コインランドリーは「洗濯する」を分離

 今回の<#2分離原理>の応用方法は、<有用作用だけを分離>するという内容を紹介しました。身の回りを見渡すと、この<有用作用の分離>にいくつもヒントが観察できます。

 例えば、「洗濯機(を売る)」に比べて、コインランドリーは「洗濯する」という有用作用を提供していますし、さらにはクリーニング店(やホテルのランドリーサービス)は、さらに「洗濯することによる有用作用」を分離して提供しています。どちらも、洗濯機が丈夫で耐久性が上がるほどコストが下がり、利益率が上がります。

 また、日本を代表する産業である自動車。先ほども述べましたが、小宮山/元東大総長が「人工物の飽和」で紹介するように、先進国における自動車販売台数は廃車台数とほぼ同じです。ということは先の蛍光灯ビジネスと同じで、車の耐久性が上がるほど売り上げが下がることを示しています。

 それに対し、カーシェアリングやレンタカーは、車を売るのではなく、「車を運転するという有用作用」を分離していると捉えることができます。さらにタクシーやハイヤーは「車を使って移動する、という有用作用そのもの」を分離して提供しています。

 どちらも、車が丈夫で耐久性や燃費が上がるほどサービス提供に伴うハードウエアコストが下がり、利益率が上がります。ですから、燃費が安くなるプリウスをいち早く大量導入したのはタクシー会社でした。そして自動車大手各社はカーシェアリングビジネスを検討している模様です。