光ピンセットに手術を期待
さて、LPで針だったものが、CDではレーザーになった。これと同様の発明品が、2013年の東京大学の授業でも取り上げられていました。システム情報学専攻の柴田昌彦さんの発表による「光ピンセット」です。
光ピンセットとは、レーザーを集光することによって、微小な物体をあたかもピンセットでつまむように捕まえる(トラッピングする)技術です。細胞の操作や、マイクロマシンの駆動などに応用できるものとのことです。

詳しい作動原理となると光に対しての専門知識が必要となってきます。しかし、ピンセットが光ピンセットになるとどんな良いことがありそうかは、専門外で仕組みが分からなくても、同じ<#28メカニズム代替原理>を介し、先ほどの「レコード針とCDでのレーザー読み取り」から考えられます。光ピンセットはピンセットよりも細かいだけでなく、傷をつけにくい可能性もある、と推測できます。
こうした「専門外の先端技術でも、その効果や応用例が推測できる」というのはまさに「劣化しにくいスキル」です。まさに「キャリアのアンチエイジング」になります。
個人的には、この光ピンセットがさらに発展して、手術ができるようになれば素晴らしいな、と考えています。そうすれば、おなかを切らなくても内臓の手術ができるかもしれません。開腹手術から内視鏡手術になることで患者の負担は大きく減りましたが、それ以上の効果が期待できます。
今でも、尿管結石を超音波で砕いたり、がんに対して放射線で治療したりと「以前は触れて治療していた」ことが「触れずに治療できる」ようになっています。これらのように、開腹手術もいつかは置き換えられればと思います。
私の知人のお子さんには、心臓の手術が必要な人が何人もいます。小さい子どもにとって心臓の周囲を開けるというのは非常に負担がかかります。将来、「身体には直接触れずに手術ができるようになれば」と切に願います(「こうちゃん」は今、募金活動もしております)。
今回のまとめです。
- <#28メカニズム代替原理>は、接触していたプロセスを非接触なプロセスにしたり、アナログなものをデジタルにしたりすることによって解決する発明原理
- 手書きの回覧チェックも、2次元コードでメール化すれば、管理が楽
- <#28メカニズム代替原理>の例は、非接触ICカード、レーザーポインター、電子メール、超音波破砕機、放射線治療など
- 「光ピンセット」は、レコード針がレーザーで置き換えられたことと対比するとイメージしやすい
平成28年もどうぞよろしくお願い致します。
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