ちなみにネクストでは、入社式を、年に5~6回はやっています。

 なぜなら、中途採用の社員はもちろん、派遣社員向けにも入社式を開くからです。同時期に入社した中途社員と派遣社員を集めて開催します。全員に入社後の抱負を語ってもらい、最後に記念撮影。合わせて、価値観の共有を目的とする「ビジョンシェアリング」の研修もするので、合計3時間ほどかかります。

派遣社員にも入社式

 特に派遣社員の皆さんは、入社式の案内を受け取るとびっくりされます。

 たとえ雇用元は派遣会社だとしても、ネクストで一緒に働く仲間であることに変わりありません。新卒社員と同様、私たちのビジョンとカルチャーを共有してほしい。そして、社内に仲間をつくってほしい。そんな思いがあります。

中途採用や派遣の社員向けにも入社式を開き、井上社長が会社のビジョンを説く

 この入社式には毎回、だいたい20~30人が参加します。年齢も職歴も雇用形態もバラバラです。

 そんな20~30人の集団に、私は必ず、こう声をかけます。

 「あなたたちは今日から同期です。たまには同期同士で飲みにでも行ってください」

 中途採用や派遣で働く人たちには、通常、社内に「同期」と呼べる仲間がいません。仕事を通じて親しくなる人はいるでしょうが、あくまで仕事での付き合いですから、何らかの利害関係が伴います。同じ会社の中に、損得勘定なく、ちょっとした悩みを相談したり、一緒に遊びに行って楽しんだりする仲間がいないというのは、中途入社や派遣勤務の大きなデメリットだと思います。

 だから私は、中途社員や派遣社員を集めた入社式を開き、「今日から同期だよ」と一声をかけるのです。ささいなことですが、実際、それがきっかけで半年や1年に1回、「同期会」を開く社員は多いようです。

 年5~6回、約3時間かかる入社式に欠かさず出席するのは、今の私にとって、決して楽なことではありません。けれど、とても大事な仕事だと思って続けています。

 採用では、ほかにも多くの施策を打っています。成果が大きかったものとしては、例えば、「仲間を増やしま賞」と「仲間を増やしま奨励金」。友人にネクストへの応募を薦めて入社に至ったとき、社員を表彰するのが「仲間を増やしま賞」。そして、応募を薦める友人に、ネクストの仕事について語る際、会食の費用を負担するのが「仲間を増やしま奨励金」です。社員の紹介ですから、私たちのビジョンやカルチャーに合った人が応募するケースが多く、このルートでの選考通過率は、非常に高くなっています。

 採用とは「優秀な人材を選び、獲得すること」ではありません。ビジョンを共有できる仲間を募り、お互いの理解を深め、良好な関係を築いていく一連のプロセスです。だから、「誰をバスに乗せるか」を熟考する。「どういうステップを踏んで乗せるか」にこだわる。その重要性は、いくら強調しても、強調し過ぎることはありません。

(構成/小林佳代)

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