なぜ、あの上司は嫌われるのか?
なぜ、あの上司は嫌われるのか?

「頭のいい」「優秀」なビジネスパーソンが嫌われるワケ

 ビジネススキルを向上させるための演習プログラムの中で、「リーダーシップを発揮するためには何か必要でしょうか」ということを参加者に考えていただく機会があります。参加者からは、「カリスマ性があること」「人情が分かること」「豊かな経験を有すること」「優れた思考力と判断力」・・・などの能力要素が、次々と挙がります。

 中には、「リーダーに集中する情報を生かす能力」といったご意見までありました。これらの能力要素のほとんどが、各種セミナーや書籍で取り上げられているもので、長年、ビジネスパーソンが高めてきた能力要素と言えるでしょう。

 しかし、私は、今日のビジネス環境の中では、これらの能力要素はリーダーシップを高めるためには、実は役立たないと考えています。いや、20年来、能力開発プログラムの演習を実施する中で、特にここ数年の傾向を考えて見ると、これらの能力要素は役立たないどころか、むしろ、真逆の能力要素が必要ではないかと確信し始めているのです。

 とりわけ高学歴な、例えば、有名大学や大学院を修了したり国家資格を保有したりしている「優秀」なビジネスパーソンがリーダーシップを発揮できないでいて、かつご自身はそれに気づいていない。そんな事例が、ここ数年来年々増えてきているのです。本人は気づいていない分、その方に率いられているチームメンバーが苦労しているケースも少なくないのです。

次ページ 自身の能力要素への固執が、ビジネス環境から乖離