絞り込むことの大切さを理解してもらえたと思います。ただし「それでもやはり、絞り込むのはこわい」「絞り込むことによって、お客様が減るのではないか」と不安に思う人がいるかもしれません。

 そんなときに有効なのが、新しいブランドを既存事業と切り離し、新事業として立ち上げる方法です。

 本体とは別のホームページをつくり、「ウチはこれだけを本気でやっています」という見せ方をすれば、様々な形で発見されやすくなるし、お客様にとって「専門家」として見せやすくなります。

 ブランドの対象となる事業部は名刺や印刷物のデザインも他の事業部とは変えていきます。この手法を活用すると既存事業はこれまで通り継続することができるため、リスクが低いうえ、チャレンジしやすい面があります。

「ヨットを運ぶ」を専門に新規事業を展開した
「ヨットを運ぶ」を専門に新規事業を展開した

 実は先ほどのヨット専門の会社はもともと自動車関連機器を運んでいた運送会社でした。価格競争に巻き込まれることが多くなるなど、経営者が危機感を持ち、思い当たったのがプライベートで楽しんできたヨットの運送でした。

ハイエンドの食器ブランドをつくった金型メーカー

 また、ある金型メーカーでは、工場の海外進出が進む中で、将来的な仕事量を危惧し、自分たちの金型技術によって新しい挑戦をしていくことに決めました。

 何を始めたのか。

 技術を生かして植物由来度の高いプラスチックにたどり着き、この素材を使って子供用のハイエンドの食器ブランドをスタートしたのです。

 事業部をブランド化するという方法は特別なことかと言えば、そんなことはありません。飲食業は同じ会社が様々なブランドで多様な業態を展開しているし、アパレルやホテルなどの業界でも当たり前のように行われています。

 だからこそ、まず一つの事業部でいいのでブランド化し、「それしかやっていない」「この分野の専門家」という見せ方をしていくことが大切です。

 これまでブランドがない会社や、既存のブランドが機能していない会社の場合は、この手法で新しい事業ブランドを立ち上げるところから始めてみるといいと思います。

(構成:日経トップリーダー

 自社の製品・サービスを「もっと高く売りたい」と考えるとき、効果を発揮するのがブランド戦略です。しかし、なかなか自社に合ったブランド戦略を実践できていないのが実情です。

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