「高く売る」ことから考える習慣をつけるには、例えばこんな会議の方法があります。

 一つはテーマを「価格をこれまでの2倍にしても大丈夫にする手段」のように、大胆に設定することです。そして「ダメ元」でいいので色々なアイデアを出してもらいます。私の経験では最初はうまくいかなくても繰り返しているうちに、意外なくらい「それはいい」というアイデアが生まれます。そして、それが「高く売る」習慣への第一歩になります。

 会議中に「今より高く売るためには」という言葉を必ず付けて話すのもいいでしょう。

 もっと簡単なやり方もあります。それは「高く売る」と書いて会議室の目立つところに貼り出すことです。また、会議で例えば「この値段でいきたいと思います」と提案するとき、必ずもう一つの案として「2倍の価格にする場合には、何をしなければいけないのか」といった提案をすることを義務付けるといいでしょう。

「今より高く売るためには」という言葉をつけるのも手だ

 こうして様々な取り組みによって「価格を下げるのではなく、価格を上げよう」「価格をもう少し高めに設定しても売れる方法はないだろうか」といった角度から議論する習慣をつけていきます。

困りごとを解決する会社に

 小さな会社が「高く売る」ブランドをつくる上で、ぜひ意識してほしいことがあります。それは事業分野を絞り込んでいくことです。なぜ絞り込みが大切かというと、「狭い領域に特化することによって、お客様から発見されやすくなる」からです。

 絞り込んだ分野ほど、お客様には「専門家に任せたい」「同じ香りがする人にお願いしたい」という気持ちが働きます。そうした場合には、お客様にとってコストは大きな問題ではなくなります。

 すると企業はお客様の困りごとの解消をしていくことで、安売りしなくても済むようになっていきます。

 最近では困りごとを解決するために、インターネット経由で「解決してくれる会社はないか」と検索することが増えています。そのときに「ウチが専門家だ」と明確に伝えることで、新たなチャンスが生まれてきます。

 どの産業でも絞り込みによって専門店化が進んでいます。これはカレーうどんで考えるとわかりやすいでしょう。「カレーうどんを食べに行こう」と言ったとき、蕎麦屋の1メニューとして載っているカレーうどんを食べに行くのではなく、カレーうどん店にいく人が多い時代です。

 事業をフォーカスし、お客様をフォーカスしながら、余計なものをそぎ落とすべきなのです

 絞り込むときに同時に考える必要性があるのは市場性です。せっかくそれまでにないカテゴリーをつくっても、あまりにも需要が小さければ事業は成立しません。お客様の抱えている困りごとにどれくらいの市場性があるのかを見極めます。

 そして、絞り込んだ結果、トップに立つ可能性があるかも考えましょう。「わざわざ絞り込んだのに5番手」では報われません。

 例えば、ヨットに特化した運送サービスを展開している運送会社が人気を集めています。

 その会社はヨットマンと「同じ香り」がすることを心掛けています。ユニフォームなどにもこだわっているほか、ヨット大会開催時の運営サポートなども行います。こうしてヨット好きに「世界観ごと買いたい」意識を持ってもらうのです。

 事業の焦点を絞り込むほどに他社との違いが明確になり、人気が上がっていきます。私はこれを「虫眼鏡の法則」と言っています。何が得意なのか。何を対象としているのか。何の会社なのか。小さな会社は絞り込むことが大切です。これがブランド戦略に通じるのです。