case 2 アール・ケア
介護の職場には、慢性的な人材不足に加え、社員が定着しにくいという大きな悩みがある。岡山県玉野市で介護事業を行うアール・ケアの山根一人社長も例外ではなかった。「3K職場」というイメージの強い業界を明るくし、楽しく働ける職場を目指したい。社員がアール・ケアで働く意義とやりがいを見つけられるようにしたい。
常々そう考えていた山根社長は、ある温泉旅館からヒントを得て、デイサービスの施設内に、東京で買い付けたインテリアや絵画を取り入れたり、全員がインカム(マイク付きヘッドホン)を付けて、利用者の情報共有がスムーズにできるようにしたりするなど、職場づくりを徹底してきた。
もう一歩、斬新で先進的な施設にするにはどうすればよいか――。悩んだ山根社長は、新しい会社のイメージを打ち出そうと考えた。つまり、新しいブランドイメージに塗り替える「リブランディング」だ。そこで、毎日通ってくる高齢者ら、相手のことを思う心を表現するような、さわやかな「アール・ケア」のブランドを新たに打ち出す方針を決めた。
「さわやか」というイメージから、ヨット部のキャプテンの姿が思い浮かんだ。そこから「マリーナに介護施設があったらどうか」と連想を広げながら、イメージを固めて経営陣と概念を共有し、改革案を次々と打ち出した。
コーポレートカラーを爽やかなブルーに変え、波やヨットのモチーフを入れた看板やロゴを作成、施設の内装もマリン調に──。
会社の「リブランディング」構想開始から2年、社員の意識や、職場の雰囲気が変わってきた。

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