また、三様監査(監査役、内部監査部門、会計監査人)の連携を確保することも求められている(補充原則3-2②(ⅲ)、補充原則4-13③)。ここには会計監査人が登場している。連携を確保する具体的な方法として、監査役、内部監査部門、外部監査人が一同に会する三様監査連絡会を実施している会社もある。

 会計監査人については、他にも個別の規定がなされている。会計監査人の選定・評価基準の策定や、会計監査人の独立性・専門性の確認(補充原則3-2①)のほか、十分な監査時間の確保、会計監査人から経営陣幹部へのアクセスの確保が求められている(補充原則3-2②(ⅰ)(ⅱ))。会計監査人には、「守りのガバナンス」の担い手としての役割・責務を果たすことが期待されているのだ。

「守りのガバナンス」の担い手である会計監査人のあるべき姿とは

 既に述べたように、会計監査人は、上場会社が開示する情報の信頼性を担保する存在であり、情報を利用する株主・投資家に対して責務を負っている存在でもある。コーポレートガバナンス・コードも、「外部会計監査人及び上場会社は、外部会計監査人が株主・投資家に対して責務を負っていることを認識し、適正な監査の確保に向けて適切な対応を行うべき」であるとしている(原則3-2)。そして、この適正な監査を確保するという目的を実現するため、以下のとおり、会計監査人に、監査役や社外取締役などと連携することを求めている。

 巧妙に隠蔽された不正に対応するためには、監査役と会計監査人が連携することが必要であり、近年、両者の連携が重視されている。コーポレートガバナンス・コードは、監査役との「十分な連携の確保」を求めており、連携の方法として監査役会への出席を例示している(補充原則3-2②(ⅲ))。

 2006年、日本監査役協会によって制定された「会計監査人との連携に関する実務指針」においても、監査役は会計監査人と定期的な会合を持つなどして、意見および情報の交換を行い、効率的な監査の実施に努めなければならないとされており、監査役と会計監査人間での意見・情報交換が求められている。日本監査役協会の監査役全国会議における事前アンケート結果によると、98.5%の会社において監査役と会計監査人の会合が行われているとのことであり、ほとんどの会社では監査役と会計監査人との連携が行われていることが分かる。

 また、コーポレートガバナンス・コードは、会計監査人が不正を発見し適切な対応を求めた場合や、不備・問題点を指摘した場合の会社側の対応体制の確立を求めている(補充原則3-2②(ⅳ))。これには、「監査役会設置会社という『選択』(2015年7月21日)」でも紹介したとおり、監査法人により法令違反などの是正措置をとるべき旨の通知が行われた場合(金商法193条の3)の対応体制も含まれる。

 2008年4月に施行された金商法193条の3は、監査法人が監査証明を行うに当たって、法令違反などの不祥事を発見したときは、監査法人が監査役に対し、適切な措置をとるべき旨を通知すると定めている(第1項)。会社が適切な措置をとらなかったら、監査法人は金融庁に申し出を行い(第2項)、金融庁に申し出たことを監査役に知らせなければならない(第3項)。

 実際に、この金商法193条の3の権限が行使された重要なケースがある。

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