ガバナンス・ガイドラインの活用例

 ガバナンス・ガイドラインを取締役会の実効性評価等において活用している例もある(取締役会の実効性評価については「取締役会の機能を向上させる具体的な方策」参照)。エーザイのガバナンスガイドラインには、「取締役会は、当社のコーポレートガバナンスの状況が本ガイドラインに沿って整備・運用されているかについて、毎年、自己レビューを行い、コーポレートガバナンスの実効性を高める」と定められている。また、コーポレートガバナンスに関する報告書にも、ガバナンス・ガイドラインの活用について以下のとおり記載している。

 …当社は、当社のめざす最良のコーポレートガバナンスを実現することを目的として、その基本的な考え方を定めた「コーポレートガバナンスガイドライン」を取締役会で決議しています。このガイドラインの中には、コーポレートガバナンスの実効性を高めるために、当社取締役会の職務の執行がガイドラインに沿って運用されているかについて、取締役会は、毎年、自己レビューを行うことが定められています。

 2016年度4月開催の取締役会において、取締役会の職務の執行について自己レビューを行いました。その結果、2015年度の取締役会の職務の遂行において、当社「コーポレートガバナンスガイドライン」の各規定に沿わない運用等、問題となる事項は認められませんでした。

 なお、業務執行における運用上の課題等については速やかにこれに対応することとしています。…

 ガバナンス・ガイドラインを単に策定するだけではなく、自社のガバナンスの実効性の向上のために利用するという取組みは他社においても参考になるものと思われる。

形式的なコンプライからの脱却

 ガバナンス・コードにコンプライする会社は増加しており、73項目についてすべてコンプライした主要企業の割合も増加している。他方、ガバナンス・コードへの対応が形式的になっているという批判もなされており、形式的にコンプライするだけでは、株主や投資家の信頼を得ることはできないであろう。上場会社には、コーポレートガバナンスの質を高め続けることが求められているのである。

 今後は、ガバナンス・コードにどのようにコンプライしているのかについて、ガバナンス・ガイドラインを通じて説明し、株主や投資家に対してガバナンスに対する積極的な姿勢を示すことは、個々の会社の事情を踏まえるべきことは当然として、ガバナンス・ガイドラインの発祥が米国にあるだけに大いに積極的に検討すべきであろう。