ここで注目されるのが、2015年の株主総会については、招集通知を発送する前に電子的に公表した上場会社が、2014年の8.4%から42.4%へと、33.8%も増加した事実である。

 ガバナンス・コードの策定により、一気に実施の機運が向上したためであると指摘されている。

 このように、招集通知の内容は、徐々にではあるが、早いタイミングで株主に届くようになってきている。多くの上場会社が、「総会議案の十分な検討期間」を確保し、「株主との建設的な対話の場」である株主総会の充実に向けた取り組みを始めているといえよう。

株主総会関連の日程の適切な設定

 補充原則1-2③は、上場会社に対し、「株主との建設的な対話の充実」などを考慮し、「株主総会関連の日程の適切な設定」を求めている。

 株主総会開催日を決定するにあたり、「集中日をできるだけ避ける」と回答した会社は増加傾向にある。具体的には、2014年(2013年7月から2014年6月に実施された株主総会)には33.7%の回答割合であったものが、2015年(2014年7月から2015年6月に実施された株主総会)には35.6%と1.9%増加している。

 2016年6月期の株主総会では、集中日に株主総会を開催する予定の会社は32%(2395社のうち733社)となり、過去最低となる見込みである。ピークだった1995年の96%に比べれば64%の減少である。この減少傾向は続くものと思われる。

 なぜなら、この傾向は複数の上場会社の株主であるものに対してより多くの株主総会に出席し、発言する機会を提供するものであり、「株主との対話」を進めようとしている表れと言えるからである。

株主総会の所要時間

 2015年の株主総会の平均所要時間は54分であり、2014年からの50分から4分増加した。発言株主の数と発言件数の増加などが影響していると分析されている。

 例えば、AA型種類株式について決議を行ったことで注目を集めたトヨタの2015年6月株主総会は、発言者数が増加したことから、株主総会の所要時間が過去最長(約3時間)となった。

 株主総会の開催時間については、より多くの株主が発言することができるよう、さらに長時間を確保することにより建設的な対話をより実のあるものとすることも検討に値しよう。

株主からの質問

 株主総会を株主との対話の場と理解する際に、分かりやすい基準となるのは、株主との質疑応答の数と内容であろう。

 2015年の株主総会において、株主から質問のあった上場会社は全体の62.1%となり、前年の39.6%から22.5%も増加した。

 質問の内容についても、経営政策、配当政策、財務状況、株価動向、社外取締役などコーポレートガバナンスに関連して、幅広い事項についての質問がなされており、多様な視点から株主と上場会社との対話が行われていることがうかがわれる。

 例えば、上場会社のROEについて以下のような質問が出されたとのことである。

【質問例】

  • 他の会社と比較して当社のROEが低いのはなぜか。
  • 当社は、中長期的には、どの程度のROEを目標にしているのか。
  • ROEの目標を達成するための手段として、例えば自社株買いを実施することは考えているか。

 ガバナンス・コード原則5-2は、ROEについて、経営戦略などの策定・公表に当たり、「収益力・資本効率等に関する目標を提示」するべきであると規定している。ROEは、資本効率に関する「目標」として用いられることが多い。

 2014年8月に公表された伊藤レポートは、最低限8%を上回るROEを達成することを各企業はコミットするべきであると述べている。