例えば、ガバナンス・コードは株主総会を上場会社と株主との「建設的な対話の場」(原則1-2)と捉え、その対話を促すために、例えば、以下の原則を規定している。

 (i) 「相当数の反対票」が投じられた場合の原因分析と株主との対話(補充原則
    1-1①)
 (ii) 招集通知の早期発送(補充原則1-2②)
 (iii) 株主総会関連の日程の適切な設定(補充原則1-2③)

 スチュワードシップ・コードも、上場会社と株主(機関投資家)の対話を促している。信託銀行や生命保険各社は、スチュワードシップ・コードを受け入れて議決権行使方針を厳格化しており、上場会社としては、こうした機関投資家との対話を通じて経営方針や株主総会の議案内容について理解を得ておく必要性が高まっている。

 現に、機関投資家から投資先企業に対し、経営戦略、ガバナンス、および資本効率などに関する質問が増えたとの調査結果があり、両者の対話は増えているといえるのである。

 「株主との対話」は、株主総会での質疑に限らない。平時から日常的に行うことが重要である(基本原則5)。特に機関投資家にとっては、総会当日だけではほとんど無意味であり、年間を通じた平時のコミュニケーションが重要であって、その積み重ねが総会当日の議決権行使につながると指摘されている。

 以上のとおり、株主総会については「株主との対話」を重視するガバナンス・コードおよびスチュワードシップ・コードの考え方を念頭に入れておく必要がある。

 以下では、2015年株主総会(2014年7月~2015年6月に開催された株主総会)においてこの2つのコードの考え方による変化が見てとれるかを検証してみたい。

 また、上記の検証を踏まえ、2016年6月株主総会へ向けた心構えについても述べることとする。

相当数の反対票が投じられた場合

 ガバナンス・コード補充原則1-1①は、上場会社に対し、株主総会で「相当数の反対票」が投じられた議案について、反対の原因分析や、株主との対話といった対応の要否についての検討を求めている。

 東京証券取引所の一部および二部に上場している会社が、当該補充原則を実施した割合(実施率)は約98%に上っている(2016年3月時点)。

 「相当数の反対票」の具体的な解釈は各社の取締役会の合理的な判断に委ねられている。例えば反対票の割合を算定するためとして、大東建託は株主総会後に出席株主に対する賛否の出口調査を行っている。

 「相当数の反対票」が投じられた場合の対応についても工夫がみられ始めている。例えば、花王は、原因分析を行ったうえで機関投資家に対してレターの送付や直接対話による説明を実施するといった対応を行っている。また、ヤマハは、「相当数の反対票」が投じられた場合に限らず、定時株主総会の議案ごとの議決権行使の状況についても分析を行い、その結果を取締役会で報告を行っていると公表している。

 上記のような各社の対応は、株主による反対の議決権行使などを分析し、「株主との建設的な対話」へとつなげる動きと評価することができよう。

招集通知の早期発送

 補充原則1-2②は、上場会社に対し、「株主が総会議案の十分な検討期間を確保」できるように、招集通知について、早期に発送することと、発送前に自社ウェブサイトなどに掲載して電子的に公表することを求めている。

 2015年株主総会においては、会社法で規定されている最低限の発送期間である中14日間(招集通知発送日の翌日から株主総会開催日の前日までの日数)をおいて招集通知を発送した会社の割合が21.5%であり、2014年から1.2%低下した。これに対し、中18日~27日間をおいて発送した会社の割合は増加(2014年の41.9%から43.5%)した。

 招集通知を早期に発送しようとする上場会社の意向が見て取れる。もっとも、グローバルな投資家に対しては、1カ月以上前の送付が望ましいとの指摘があることから、上場会社によっては、さらなる取組みが求められよう。